〇1 7 番( 茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、さきに通告しました2 件に
ついて質問をいたします。
まずは、災害時に避難支援が必要な方々の情報を地域と共有する方法についてでございま
す。本年7 月に発生しました新潟県中越沖地震では、お年寄りや障害者など災害時に避難支
援が必要な方々、要援護者と一般的に呼びますが、こうした方々を地域において正確に把握
できていなかったことが原因で、安否確認や避難に大きな支障を来しました。1 0 人のお年
寄りが亡くなった新潟県柏崎市では、市内に住むひとり暮らしの高齢者2 ,6 7 2 人のうち、
地震発生から3 日間に連絡がとれたのはわずか2 割強であったとのことです。このような状
況から、厚生労働省は要援護者の名簿を民生委員さんなどと共有できるような体制づくりを
全国の自治体に求める通知を出したとのことですが、この点につきましてお尋ねをいたしま
す。個人情報保護法の観点からは問題が予想されますが、要援護者の方々の安全を守るため
名簿を地域と共有することについて、富岡市としては今後どのような取り組みをお考えでし
ょうか。
続きまして、2 点目ですが、国保加入世帯の負担を軽減するための対策についてをお伺い
いたします。富岡市の国保基金残高は1 8 年度末現在ゼロということから、今年度国保税が
大幅に値上げされました。地方を取り巻く経済状況はまだまだ厳しく、収入が減る中、さま
ざまな税に加え国保税も一気に上がったことで苦しい生活を余儀なくされている市民の
方々は少ない数ではございません。ただ、国保財政が厳しいのは決して富岡市だけの話では
なく、全国の自治体が同様の問題に直面しております。しかし、苦しい国保運営を強いられ
る中、一般会計から国保会計に税金を回して、いわゆる法定外繰り入れという方法ですが、
このやり方で国保加入者の負担軽減を図る自治体も多いと伺っております。そこで、まずこ
の法定外繰り入れについてお尋ねいたします。この方法は法律で認める以上の財政支援を行
うわけですから、賛否は分かれるところですが、現在富岡市が行っていない法定外繰り入れ
を、全国的にはどのぐらいの自治体が、どのような規模で行っているのでしょうか、わかる
範囲でお教えください。
また、6 月定例会におきまして、市長から「国保事業は独立採算が原則」とのお話がござ
いました。国保税の通知が届いた4 月から今回の国保税の大幅値上げに対し、市民の方々か
ら厳しいご意見が数多く聞こえてまいりますが、現在も独立採算の原則を重視するお考えに
変化はないのでしょうか。
さらに、この件につきましてもう一点お伺いいたします。国保加入者の負担を減らすには、
国保加入者全体の医療費を減らすことが重要であると私は考えております。その具体的な方
法として、低価格ながら安全性、有効性が確立されているジェネリック医薬品を国保加入者
の方々に広く利用してもらうことも一案ではないかと思いますが、この方法について当局は
どのようにお考えでしょうか。
以上、第1 質問といたします。ご回答のほどよろしくお願いいたします。
〇議長( 高橋總一郎君) 市長。
( 市長 岩井賢太郎君登壇)
〇市長( 岩井賢太郎君) 1 7 番 茂原議員さんのご質問に順を追ってお答え申し上げます。
初めに、災害時に避難支援が必要な方々の情報を地域と共有する方法につきましてお答え
いたします。現在民生委員制度創設9 0 周年を記念し、全国の民生委員さんが「災害時一人
も見逃さない運動」を展開しており、高齢者や障害者、ひとり親家庭などの災害時要援護者
の名簿の作成を行っております。そして、「もしもの場合には名簿情報を関係機関等へ提供
することを了承する」という確認書の取得につきましても、本年9 月1 日付で進めていると
ころでございます。この名簿を各要援護者の周囲にお住まいの地域の方とあらかじめ共有す
ることができれば、災害が発生した際に大変有効であることは茂原議員さんのご指摘のとお
りでございます。
そこで、ご質問の要援護者の名簿を地域と共有することについてでございますが、厚生労
働省の通知においては、地方公共団体の個人情報保護条例に個人情報の目的外利用の規定が
ある場合は、この規定に基づいた要援護者の情報の共有は可能であるとしており、この規定
に基づく関係機関との要援護者の情報の共有について積極的な取り組みをすることが求め
られております。富岡市個人情報保護条例の規定には、第8 条のただし書きにおきまして、
この個人情報の目的外利用についての規定がございます。このため、民生委員さんの要援護
者の把握につきましては、市の情報提供による協力とあわせて関係機関と十分協議の上、進
めてまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げま
す。
次に、国保加入世帯の負担を軽くするための対策につきましてお答えを申し上げます。初
めに、1 点目の法定外繰り入れを、全国的にはどのくらいの自治体が、どのような規模で行
っているのかとのご質問にお答えをいたします。全国で国保を運営している自治体数は、平
成1 7 年度現在で1 ,8 3 5 となっております。この中でご質問の法定外繰り入れをしてい
る自治体数は1 ,2 8 4 でございます。また、この法定外繰り入れを一般会計から行うに際
しての繰り入れの理由は数多くありますが、その中でも多い理由は、福祉医療波及増の補て
んとしての繰り入れ、赤字繰り入れとしての医療費増額の補てん、そして老健拠出金の補て
んなどであります。ご質問は法定外繰り入れの中のいわゆる赤字補てんに関する繰り入れに
ついてではないかと思われますので、県内1 2 市の赤字繰り入れに関する状況につきまして
お答えをいたします。平成1 7 年度に一般会計から国保会計赤字補てんの理由で繰り入れま
した市は、伊勢崎市、渋川市、藤岡市、安中市及びみどり市でございます。
次に、2 点目の国保事業の独立採算の原則重視の考え方につきましてお答えいたします。
茂原議員さんもご承知のように、国民健康保険制度は社会保険制度の一つでございます。相
互扶助の考え方のもと、加入者である被保険者一人一人がお互いに費用を負担し合い、特別
会計を設けて独立して経理を行うものでございます。したがいまして、原則として独立採算
を基本としている制度であることについての認識は現時点でも変わりはございませんので、
よろしくご理解をお願いを申し上げます。
次に、3 点目の医療費を減らすためのジェネリック医薬品使用の考え方につきましてお答
えをいたします。国保加入者全体の医療費を下げることが結果的に国保加入者の負担を減ら
すことになることは、茂原議員さんご指摘のとおりであると思います。国において進めてお
ります医療制度改革の基本は、これまでの治療重点の医療から、疾病の予防を重視した保健
医療体系へと方向の転換を図っております。具体的には生活習慣病の予防を重点的に進める
こととしており、富岡市の国保におきましても平成2 0 年度から4 0 歳以上の国保加入者を
対象に特定健診を行いまして、内臓脂肪型肥満を原因とする糖尿病、高血圧症、高脂血症な
どの生活習慣病の発生を抑え、市民の健康増進と医療費の増加を防ぎたいと考えております。
ご質問のジェネリック医薬品につきましては、新薬の特許期間満了後に厚生労働省の承認を
得て発売される薬の総称でございますが、新薬に比べて大幅な開発コスト削減と開発期間の
短縮が可能なため、新薬と同じ成分、同じ効き目でありながら、その価格は平均すると新薬
の半分以下という薬でございます。茂原議員さんご指摘のように医療費の問題は深刻でござ
いますので、この薬を使うことにより、国保会計の改善の一助になるのではないかと私も注
目をしております。ただ、薬の処方に関しましては、行政が直接関与できる領域ではありま
せんので、その辺のところもご理解いただければありがたいと思います。このため、国の診
療報酬体系の見直しによるジェネリック医薬品使用の推移を注視しながら適切に対応した
いと思っておりますので、ご理解いただきますようお願い申し上げまして、壇上からの答弁
とさせていただきます。
〇議長( 高橋總一郎君) 1 7 番。
〇1 7 番( 茂原正秀君) まずは、ご答弁ありがとうございました。
1 点目の要援護者の名簿を地域と共有することについてですが、富岡市個人情報保護条例
に個人情報の目的外利用の規定があるので、民生委員さんが要援護者を把握するため市の情
報を提供することも可能とのお話を伺いまして、安心しました。富岡市は天災が少ない地域
とこれまでは思われてきましたが、さきの台風9 号による被害を目の当たりにしますと、決
して油断はできません。ぜひ万一の災害のときに、援護を必要とする方々がどこにどれだけ
いらっしゃるか、それを正確に把握し、迅速な対応をとれるよう、行政と地域での情報共有
を進めていただきたいと思います。この件につきましては、先日6 番議員さんも触れており
ますので、要望で終了いたします。
次に、国保の法定外繰り入れについてですが、赤字を補てんするため法定外繰り入れを行
っているのは県内1 2 市の中で5 市あるとのご説明をいただきました。そこで、この点につ
いて再質問いたします。この5 市はそれぞれどの程度の規模で法定外繰り入れを行っている
のでしょうか。
また、国保事業の独立採算の原則を重視するという姿勢につきましては、以前と変わらな
いことを確認させていただきました。しかし、「相互扶助の考えのもと、加入者である被保
険者一人一人がお互いに費用を負担し合い」というくだりがございましたが、国保加入者が
どのような方々であるか、また現在の国保制度のあり方を考えますと、この表現に私は疑問
を感じます。国保の加入者といえば、会社や組織に属さず、ご自分で仕事をなさっている方
や高齢者の方が中心です。また、会社に勤めていた方も、会社をやめて無職になれば国保に
加入することになります。こうしたことを考えますと、国保の加入者は企業の健康保険組合
や政府管掌保険組合、各種共済組合加入者と比べると経済的に余裕がない方が圧倒的である
と思われます。相互扶助とはいっても、他の健康保険と比較すると経済的基盤が脆弱な方が
多数を占める国保加入者だけでお互いに費用を負担してくださいというのは、かなり酷なの
ではないでしょうか。実際、今年度から大幅に引き上げられました国保税に対し、加入者の
方々からたくさんの厳しいご意見を私はこれまでにいただきました。怒りや不満、困惑など
さまざまなお声を耳にしますと、国保基金が枯渇したのですから今回の値上げは避けては通
れぬことだったのでしょうが、日々の生活で余裕がない精いっぱいの暮らしを余儀なくされ
ている方にとっては、平均3 4 .7 % のアップは許容できる範囲をはるかに超えていたと考
えざるを得ません。富岡市の財政が厳しいことは百も承知しておりますが、国保加入者の皆
さんの暮らしもそれ以上に厳しいのが現実です。行政側の都合で7 年間値上げを据え置いて
きた分を一気に値上げしたわけですが、加入者の負担を減らすため繰り入れを行う自治体も
たくさんある現状も考慮すれば、もう少し加入者に対して別の対応をすべきだったのではな
いかと私は現在感じております。富岡市の国保加入者について少し触れてきましたので、今
後の国保税のあり方を考えるために、ここでその点につきまして再質問をしたいと思います。
まず1 つ目は、富岡市の国保加入者1 人当たりの医療費は、県内1 2 市の中で他市と比較
した場合、どのような状況なのでしょうか。
そして、2 つ目ですが、同様に富岡市の国保加入者の国保税納付率は県内1 2 市の中で他
市と比較した場合、どのような状況でしょうか。
最後に、ジェネリック医薬品についてですが、当局も、この薬を使うことにより国保会計
の改善につながる可能性があるとの認識をお持ちであることは理解しました。ただ、国保加
入者がジェネリック医薬品を利用すれば国保会計にとってメリットがあるとしても、富岡市
が国保加入者に対してジェネリック医薬品を使ってくださいというのは無理であるかと思
います。そこでひとつ提案したいのですが、ジェネリック医薬品を使えば医療費の自己負担
を軽減できるだけでなく、富岡市国民健康保険の医療費削減にもつながることを市報や富岡
市ホームページなどでアピールしてはいかがでしょうか。欧米では数量ベースで医薬品市場
全体の約半分を、特許切れ後に発売されるジェネリック医薬品が占めていると言われていま
す。また、厚生労働省では、平成1 8 年4 月から、ジェネリック医薬品の使用促進を図るた
め、医師がジェネリック医薬品をより選択しやすいように処方せんの様式を変更したことな
どからも、今後この薬がふえていくことは確実であると思われます。市民にとって経済的な
メリットがある方法として、さらに国保会計の改善にもつながる対策として、ジェネリック
医薬品についての情報を市民に周知することを今後検討していただきたいと思います。この
件につきましては、要望で終了いたします。
以上、第2 質問といたしますか、よろしくお願いいたします。
〇議長( 高橋總一郎君) 市長。
〇市長( 岩井賢太郎君) 茂原議員さんの再質問にお答えを申し上げます。
茂原議員さんからは、国保加入世帯の負担を軽くするための対策に関連いたしまして、県
内5 市の法定外繰り入れの規模や医療費及び国保税納付率の県内1 2 市との比較など3 点
の再質問をいただきました。その中で国保負担金の保険料の値上げにつきましてのご指摘は、
そのとおりだと私も思っております。しかし、上げる前の富岡市の保険料は1 2 市の中でも
一番安かった、こういうことはご認識いただいていることだと思いまして、今回3 4 .7 %
上げたその後の保険料につきましても1 2 市の中では中間に位置する、このように認識をし
ております。
確かにご負担をかけていることは間違いありませんが、先ほどから申しましたように特別
会計ということと、先ほど申しました相互扶助含めて、やはり厳しいものではあるでしょう
けれども、それぞれの皆さんが自助努力をしていただいて市政に対してもご協力いただくこ
とと考えておりますので、よろしくご理解いただければありがたいと思っております。
そして、お尋ねの3 点につきましては、それぞれ実務的な内容となっておりますので、保
健福祉部長から答弁をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
〇議長( 高橋總一郎君) 保健福祉部長。
〇保健福祉部長( 津金澤修一君) 命によりまして、茂原議員さんの再質問にお答えを申し
上げます。
初めに、1 点目の県内5 市の法定外繰り入れの規模についてお答えを申し上げます。平成
1 7 年度に赤字補てんの理由で繰り入れをした額は、伊勢崎市が5 億1 ,0 3 7 万7 ,9 2
9 円で国保会計歳入全体の2 .9 % でございます。渋川市は7 ,3 9 9 万1 ,3 8 7 円で0 .
9 % 、藤岡市は2 億3 , 6 6 4 万2 , 1 6 9 円で3 . 6 % 、安中市は1 億4 , 7 7 2 万2 ,
1 1 2 円で2 . 5 % 、みどり市は1 億8 , 9 6 6 万3 , 8 3 3 円で5 . 3 % でございます。
次に、2 点目の富岡市の国保加入者1 人当たりの医療費を県内1 2 市と比較した場合の状
況につきましてお答えを申し上げます。平成1 7 年度の1 人当たりの医療費は富岡市は3 0
万6 , 5 8 4 円で、県内1 2 市の中では最も低い金額となっております。
次に、3 点目の富岡市の国保加入者の国保税納付率を県内1 2 市と比較した場合の状況に
ついてお答えを申し上げます。平成1 7 年分の国民健康保険税の収納率は9 3 . 7 5 % で、
県内1 2 市では最も高い収納率となっております。
以上、再質問のご答弁とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
〇議長( 高橋總一郎君) 1 7 番。
〇1 7 番( 茂原正秀君) 詳しいご回答をいただきまして、ありがとうございました。それ
では、ここでご説明していただいた情報を整理し、今後の富岡市国民健康保険のあり方につ
いて私の意見を述べさせていただきます。
まず、県内1 2 市で考えますと、伊勢崎市は市の規模が大分違いますので除いてみても、
人口規模が富岡市に近い渋川市、藤岡市、安中市、みどり市の4 市で赤字補てんのための法
定外繰り入れを行っていることがわかりました。県内に人口1 0 万人以下の市は富岡市を含
め7 市ございますが、これを類似規模の自治体と見ますと、7 分の4 、つまり半数以上は加
入者の負担を軽減するために財政的な配慮をしていることになります。まず、この点からも、
あくまでも独立採算の原則を重視するという富岡市の姿勢は、国保加入者に対し少し厳しい
のではないかと感じます。
加えて、富岡市の国保加入者1 人当たりの医療費は県内1 2 市の中で最も低く、国保税の
納付率は県内1 2 市の中で最も高いという事実を当局の皆様はどのようにお考えになるで
しょうか。他市よりも医療費がかからず、しかもまじめに国保税を納めてくれる富岡市の国
保加入者は県内で最も模範的であり、行政にとっても理想とするような存在ではないかと私
は思っております。
しかも、1 人当たりの市民所得というデータがあるのですけれども、これは平成1 5 年度
のデータですので、まだみどり市はなく、県内1 1 市当時のものなのですが、富岡市は1 人
当たりの所得が1 1 市の中で断トツに低い最下位でございます。ちなみに、一番高いのは高
崎市の3 6 8 万円で、3 0 0 万円以下は第1 0 位の沼田市2 9 4 万円、そして最下位の富岡
市は2 6 9 万円とのことです。
言うなれば、所得は一番低いのに、一番まじめに国保税を納め、しかも医療費は一番かか
らない、これが富岡市の国保加入者の実情ではないかと感じます。国保税の比較は単純には
できませんが、先ほども岩井市長さんからも説明がありましたけれども、私が調べたところ
では富岡市の国保税は現在県内1 2 市の中で多分上から七、八番目あたり、真ん中よりやや
下のレベルに位置するかと思います。しかしながら、富岡市の国保加入者の現状を考慮すれ
ば、加入者が負担する国保税は一番安くなるはずであるというよりは、安くならなければお
かしいと私は考えております。ただいま説明申し上げました他市の対応や富岡市の国保加入
者の実態を再度ご認識していただきまして、法定外繰り入れを含めた国保加入者の負担軽減
策を実施していただきますことを当局の皆様には強くお願いしたいと思います。
以上で一般質問を終了いたします。ありがとうございました。