〇議長(勅使河原喜夫君) 次に、4番議員 茂原正秀君、ご登壇、ご質問願います。

4番。 (4番 茂原正秀君登壇)
〇4番(茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、さきに通告しました今後の合併の方向 性についてを質問いたします。 先日下仁田町から富岡市へ合併の申し入れがあり、今後の合併についての新たな動きが出てまいり ました。しかしながら、新富岡市発足後まだ半年しかたっていないことや、合併の優遇措置が最も整 っていたさきの合併特例法の期間内に、富岡、甘楽旧5市町村での広域合併が実現に至らなかった経 緯を踏まえますと、自立を選択した3町村との合併を今後進める場合、富岡市は大変難しい選択をし なければならないことが予想されます。富岡・甘楽の地域は、一つの文化圏、生活圏として長い歴史 を持つことを考慮すれば、一つの市にまとまるのは自然なことであり、富岡市がリーダーシップをと るのは妥当であると思います。しかし、その反面、さきの合併特例法の期間内に合併したことで大き なメリットを手に入れた富岡市にとっては、今後新たな合併を進めてもメリットは少ないことが予想 されます。それどころか、合併を進めれば進めるほど、富岡市の財政や行政運営においては大きなデ メリットを抱える可能性も否定できません。 そこで、1点お伺いいたします。富岡市の発展と富岡市民の利益のために、今後合併をどのように 進めていくお考えでしょうか。 以上、壇上からの質問といたします。ご答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

〇議長(勅使河原喜夫君) 市長。 (市長 岩井賢太郎君登壇)

〇市長(岩井賢太郎君) 4番 茂原議員さんの今後の合併の方向性につきましてお答えをいたしま す。 ご承知のように、平成17年3月31日に市町村の合併の特例に関する法律が失効したことにより、 いわゆる平成の大合併の第1幕が閉じられました。大合併の兆しが見え始めた平成13年4月には全 国で3,226を数えた市町村は、5年後のことし4月には1,820に集約され、我が国の新たな 国づくりの基盤が築かれたところでございます。しかしながら、国では、今もなお小規模自治体が数 多く残っていることや、合併協議に入りながらも結果的に合併に至らなかった市町村があること、さ らには合併協議の途上にある市町村が存在することなどから、市町村の規模の適正化と均衡ある発展 を図るため、平成22年3月31日までの5年間を期限とするいわゆる合併新法を制定し、合併推進 の道と合併協議の場を残したところでございます。 一方、今後の都道府県のあり方を見直す道州制の議論も深まりつつあることもご承知のとおりであ ります。政局の動向によっては、これが加速することも考えられ、市町村のみならず、都道府県の枠 組みまでが現実味を帯びており、地方自治体を取り巻く行政環境は大きく変貌をしようとしておりま す。とりわけ基礎自治体である市町村は、改革の精神を念頭に置きながら、国の目指す方向性を確実 に見きわめつつ、常に市町村のあるべき姿を模索することが肝要であるわけでございます。このよう な中、本年3月27日、富岡市と妙義町の合併により新富岡市の誕生に至ったところでありますが、 富岡甘楽広域圏を枠組みとした合併は大きな期待として根強く残っておりますことは、茂原議員さん もご承知のとおりでございます。また、合併新法では、県が市町村の合併構想を示し、必要によって は合併の勧告をしなければならないことになっておりますが、残念ながら群馬県におきましては、い まだにそれを示していない状況であることもご承知のとおりであります。 一方、国では、地方分権の一層の推進を図りながら、三位一体改革のもと、地方交付税の縮減や国 庫補助金の削減を強力に推し進めており、市町村は一層厳しい財政状況を迫られることになっており ます。また、今後市町村の財政を直撃すると思われる医療費や福祉関係費、ごみ処理等の環境衛生費 の増大を考えるとき、私は、今後の関係市町村のあり方を関係市町村でともに考えなければならない と思っている次第であります。 そこで、お尋ねの、富岡市の発展と富岡市民の利益のために今後合併をどのように進めていくのか とのご質問でございますが、今後の合併問題を考えた場合、富岡甘楽広域圏は、歴史的にも、文化的 にも、経済的にも、そして行政的にも一体化した地域であり、広く住民の皆さんにも認知されており ますとともに、強いきずなで結ばれてきた地域であります。加えて、これまで培ってまいりました協 力体制のもと、合併後も良好な行政運営を期待できますので、富岡甘楽広域圏の枠組みの合併は一番 自然な形であると考えております。しかしながら、一方ではこれまでの経過を考えた場合、合併可能 な町村を優先して合併協議に臨み、富岡甘楽広域圏の合併に向けた一定の道筋を整えることも肝要で あると考えております。したがいまして、現在下仁田町から合併の申し入れがあるわけでございます ので、これを真摯に受けとめ、早期に合併協議に臨む中で、他の町村にも十分に意を払うとともに、 胸襟を開いて真剣かつ積極的にお声がけをし、富岡・甘楽の広域合併のために汗をかき、努力を惜し まない所存でございますので、ご理解をいただきますようお願い申し上げまして、私の壇上からの答 弁とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

〇議長(勅使河原喜夫君) 4番。

〇4番(茂原正秀君) ご答弁ありがとうございました。まず、合併の方向性につきましては、根本 的な部分は私も市長と全く同じ考えを持っておりまして、将来的には富岡・甘楽で一つの市にまとま るのが最も望ましいことと思っております。しかし、だからといって私は、どんどん早急に合併を進 めていくべきという積極的な合併推進派ではございません。あくまでも将来的にはということであり、 5年、10年、15年という中長期的な展望の中で進めるべきものと、二つの理由から考えておりま す。 まず、一つ目の理由は、合併特例法で最高の条件が与えられた中でのさきの広域合併が、下仁田町、 南牧村、甘楽町3町村の離脱により実現に至らなかったという経緯です。幸い、旧富岡市と妙義町は 本年3月27日に合併し、新富岡市としてスタートを切ることができ、当初目指していたものと比べ ますと小さな合併になってはしまいましたが、合併特例法の大きなメリットを手に入れることができ ました。そのような経緯があったわけですから、広域合併に至らなかった時点からまだ日も浅く、急 いで合併を進めても前回のような優遇措置がないことや、次の合併を考えることよりも新富岡市とし て手に入れた合併特例法のメリットをうまく活用することの方が現時点では重要であることを考慮し ますと、慎重に今後の合併は進めるべきと思っております。 また、二つ目の理由ですが、それは極めて厳しい富岡市の財政状況でございます。現在の富岡市の 財政状況はかなり危機的な状況と私は強く感じております。具体的な例を挙げますと、富岡市の平成 17年度経常収支比率は102.2という数値になっております。この数値は、大きくなればなるほ ど財政状況が苦しいことを示す代表的な指標ですが、富岡市は現在群馬県内の12市の中でも最も悪 い状況です。さらに説明を加えますと、経常収支比率が100を超えるということは、人件費や公債 費など簡単に減らすことができない経費を市税や地方交付税などの一般財源では賄えないことを意味 し、このような状況に陥った自治体は、財政再建団体予備軍と言われることもございます。ちなみに、 富岡市の経常収支比率102.2という数値は全国の自治体の中でどの程度のレベルに当たるのか、 自分で調べましたところ、ぞっとするようなことがわかりました。昨年11月9日の読売新聞大阪版 だったのですけれども、それに掲載されたデータで確認しましたところ、平成15年に経常収支比率 が100以上の市は全国でたった23市しかなく、このときの第1位はあの北海道夕張市で、数値は 109.8でした。そして、17年度の富岡市の102.2という数値は、その2年前ならば全国ワ ースト第13位に該当しておりました。これだけ深刻な財政状況の中で、もしも合併を進めるという ことになれば、富岡市にとっては将来に禍根を残すような危険な選択になるのではないでしょうか。 これはあくまでも私の個人的な分析ですが、現在の富岡市には、新たな合併の道を進むことよりも、 財政の健全化を優先することの方が将来の発展のためには必要であるかと思われます。 以上の内容を理解していただいた上で、2点質問いたします。 まず一つ目は、市長は合併に大変積極的であり、もしも富岡・甘楽の広域合併に至らない場合は、 申し入れがあった下仁田町とだけでも合併を進めていきたいとのお考えのようですが、今新たな合併 を進めることは、旧富岡市と妙義町が合併したときに手に入れたメリットを十分に活用できず、新富 岡市にとっては大きな不利益になることも危惧されますが、このような見方に対し、市長はどのよう にお考えでしょうか。 そして、二つ目ですが、財政状況に関連することをお伺いいたします。先ほど財政状況指数の一つ である経常収支比率を取り上げ、富岡市の極めて厳しい財政事情を説明させていただきましたが、そ のほかの指標を含めた富岡市の総合的な財政は現在どのような状況なのでしょうか。また、現時点で は、広域合併よりも下仁田町を編入で受け入れる合併の方が可能性は高いかと思われますが、もしも 下仁田町を編入する形で合併した場合、富岡市の財政にとって何らかのプラスになるような要素はあ るのでしょうか。 以上を第2質問といたします。

◎ 休 憩 午前11時56分休憩 〇議長(勅使河原喜夫君) 昼食のため、休憩いたします。

◎ 再 開 午後 1時00分再開 〇議長(勅使河原喜夫君) 再開いたします。

◎ 続・一般質問 〇議長(勅使河原喜夫君) 午前中に引き続き一般質問を行います。市長。

〇市長(岩井賢太郎君) それでは、茂原議員さんの再質問に順を追ってお答えをいたします。 初めに、富岡市と下仁田町との新たな合併を進めることは、新富岡市にとっては大きな不利益にな ることも危惧されるが、このような見方に対して市長はどのように考えるのかとの質問にお答えをい たします。 茂原議員さんご指摘のように、このたびの富岡市と妙義町との合併に当たりましては、当初富岡甘 楽5市町村の合併協議からスタートしたわけでございます。その後、下仁田町、南牧村、甘楽町が離 脱をしたことにより広域合併に至らなかったという経緯があり、結果的に富岡市と妙義町との最少の 構成単位での合併となったわけでございますが、これも茂原議員さんご指摘のように、合併特例債な どの財政的なメリットのある合併となりましたことは紛れもない事実であり、衆目の認めるところで あります。しかしながら、これまでの5市町村での合併協議の経緯を考慮した場合、ベストの組み合 わせの合併であったかといえば、それを即座に肯定できないのも事実であります。今後の地方自治体 を取り巻く厳しい行財政環境を考慮した場合、基礎自治体である市町村は、将来展望に立った市町村 のあるべき姿を模索することが肝要であり、この目的を達成するためにも、さらなる市町村合併を進 める必要があるものと私は考えております。そして、その合併の枠組みは、一体化した地域として広 く住民の皆さんにも認知されておりますとともに、合併後も良好な行政運営が期待できる富岡甘楽広 域圏が一番自然な形であることは異論のないところであろうと思われます。このため、下仁田町との 合併協議につきましても、あくまでも広域合併のための通過点、あるいはステップの一つとして考え るものであり、下仁田町との合併協議と並行して、南牧村と甘楽町に対して前向きに取り組んでいた だくよう鋭意協議、調整をさせていただき、広域合併の道筋を模索することとしておるものでござい ます。 このような考え方の中、ご質問の富岡市と下仁田町との新たな合併を進めることは新富岡市にとっ ては大きな不利益になることも危惧されるとのご見解につきましては、利益になるか、不利益になる か、あるいは得か損かという考え方のみで判断いたしますと、これは合併しない方がいいという短絡 的な結論になってしまうような気がいたします。しかし、ご承知のとおり、行政は企業とは違いまし て、利益のみを追求するというものではなく、常に住民福祉の増進や住民サービスの向上を図りなが ら、組織や運営の合理化に努めなければならないわけでありまして、市町村合併につきましても、利 益になるか不利益になるか、得か損か、あるいはメリットかデメリットかなどの判断のみでなく、大 所高所から判断することも必要であるものと考えております。このたびの下仁田町との合併問題につ きましても、下仁田町の人口規模や財政状況などを勘案いたしますと、富岡市にとって不利益が危惧 されないということは断言できませんが、あくまでも広域合併をベストと考える立場から、富岡甘楽 広域圏の合併に向けた一定の道筋を整えるものであり、富岡甘楽圏域の広域合併という明確な目標が あることを考え合わせますと、その懸念は払拭できるものと考えておりますので、茂原議員さんには 特段のご理解をいただきますよう、お願いを申し上げる次第であります。 なお、平成22年3月31日までを期限とする合併新法は、普通交付税の合併算定替の特例や合併 移行経費などの特別交付税の財政措置、さらには議員さんの在任特例なども盛り込まれております。 また、いわゆる合併特例債は廃止されたものの、合併基本計画を達成するための事業に要する経費に ついては、地方債についての特別な配慮が規定されておるところでございますので、私は中長期的な 展望ではなく、早期に合併協議を進め、合併新法を活用することが賢明であり、ひいては将来の富岡 市の利益になるものと考えておりますので、茂原議員さんには重ねてのご理解をいただきますよう、 お願い申し上げます。 続きまして、二つ目の、富岡市の総合的な財政は現在どのような状況なのか、また三つ目の、下仁 田町を編入で受け入れた場合、富岡市の財政にとってプラスの要素があるのかとのご質問でございま すが、このお答えにつきましては企画部長からさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げ ます。 私からは以上であります。 〇議長(勅使河原喜夫君) 企画部長。

〇企画部長(大塚 誠君) 命によりまして、茂原議員さんの再質問にお答えをさせていただきます。 初めに、富岡市の総合的な財政は現在どのような状況なのかとのご質問にお答えをいたします。経 常収支比率につきましては、先ほど茂原議員さんから詳しくご説明をいただきましたが、ご指摘のと おり、100%を超え、102.2%という深刻な状況となりました。ご承知のとおり、経常収支比 率は財政の弾力性を示すものでございまして、この指数が102.2%になってしまったということ は、経常的に支出される経費に対して、市税を含めた一般財源では足らず、臨時的な収入を充当しな ければならない状態となっているものでございます。この指数を見ますと、まさに富岡市の財政は硬 直化し、危機的な状況に陥っていると厳粛に受けとめているところでございます。 次に、平成17年度決算から新たに導入されました実質公債費比率でございますが、先月の新聞報 道にありましたように、県内12市で唯一、黄色信号と言われている18%を超え、19.1%とな っております。この実質公債費比率は、一般会計の公債費負担に加え、特別会計や一部事務組合に対 する繰出金や負担金、出資金などにおける公債費負担分を加味したもので、市全体の公債費負担の実 態をより明確にあらわしたものでございます。この平成17年度の数値は、平成15年度からの3年 間の平均数値でございまして、最も公債費の高かった平成16年度を中心とした3年間のものでござ います。また、経常一般財源に占める公債費の一般財源所要額の比率を示す公債費比率は、17.9% となり、県内12市で10位となっております。この指数につきましては、これまでの市債発行を極 力圧縮してきた成果があらわれまして、前年度の19.9%から2ポイント下がってまいりました。 このように本市の公債費のピークは平成16年度でありましたので、今後は徐々に改善されていくも のと見込んでおりますけれども、引き続き一般会計の公債費負担が増大しないよう、起債事業を極力 圧縮するとともに、経常経費のさらなる削減に取り組んでまいりたいと考えております。また、関係 する特別会計や一部事務組合に対しても、改善努力をお願いしてまいります。 次に、市の貯金であります財政調整基金の残高でございますけれども、現在約13億円と少なくな ってきております。この額は、平成16年度末の旧富岡市、旧妙義町の合計額が27億2,000万 円でありましたので、その半分以下になったということでございます。平成17、18年度の予算編 成におきまして、財政調整基金から21億2,200万円を取り崩して各種事業に対応してきたこと により、このように大きく減ってきたものでございます。今後も世界遺産登録推進のための施設整備 や維持補修、また関連のまちづくり整備や少子高齢社会への対応など、行政需要はますますふえてい く傾向にあります。このため、これまでと同様に基金の取り崩しをした場合、来年度予算は何とか編 成をすることはできますけれども、平成20年度以降は決められた収入の範囲内でしか予算を組めな い状況となり、これまで実施していた事業も中止せざるを得ない状況になることも考えられ、これま で以上に厳しい財政運営を強いられるものと思っているところでございます。 次に、下仁田町を編入で受け入れた場合、富岡市の財政にとってプラスの要素があるのかとのご質 問でございますが、まず地方交付税による措置では、交付税算定の特例であります合併算定替がござ います。この合併算定替は、合併しなかった場合の交付税額と合併後の算定額を比較して、自治体に 有利な方を交付するというものでございます。次に、特別交付税の措置でございますが、その内容は、 合併準備経費や合併移行経費に対する財政措置などでございます。さらに、合併特例債にかわりまし て合併推進債による措置がございますが、これまでの合併特例債は充当率が95%であったものに対 し、合併推進債は90%、元利償還金の交付税算入率が合併特例債では70%であったものが、合併 推進債では40%となるなど、やや不利なものになっております。 以上、私からの答弁とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

〇議長(勅使河原喜夫君) 4番。

〇4番(茂原正秀君) ご答弁ありがとうございました。 富岡甘楽地区においては、最終的には広域合併こそが最も望まれる形であるという岩井市長のお考 えに対し、私も基本的には異存はございません。しかし、その最終目的に向かうまでの方法及び現在 の富岡市が置かれている厳しい状況の認識の度合いについては、岩井市長の示されているものと私の 考えは大きく異なります。 まずは市長のお話を整理してみますと、私の申し上げた、富岡市と下仁田町の新たな合併を進める ことは富岡市にとっては大きな不利益になることも危惧されるという考え方に対し、利益になるか不 利益になるか、あるいは得か損かという考え方のみで判断いたしますと、合併はしない方がよいとい う短絡的な結論になってしまいますと発言されました。まず、これは重要なポイントです。つまり、 利益、不利益という視点だけで考えれば、下仁田町との合併は不利益であるということをご認識して いると読み取れます。そして、二つ目のポイントは、下仁田町との合併自体は富岡市として不利益に なるであろうが、富岡甘楽広域圏の合併に向けた一定の道筋を整えるためのものなので進めるべきで あるという市長の姿勢です。シンプルに表現しますと、下仁田町との合併は不利益だが、広域合併を 進めるためには必要なことという内容にまとまるかと思います。 そこで、この内容について、先ほど説明していただきました富岡市の危機的な財政状況を関連させ ながら、私の意見を申し上げたいと思います。まず、富岡市の財政状況についてのデータですが、も はや超えてはならない最終ラインを大きく超え、危険水域に入ってしまったと私は懸念しております。 「台所が火の車」という表現がございますが、まさに現在の富岡市の財政はその状況で、今後はさら に火の勢いは強まり、近々屋根から火柱が突き上がってしまう危険性も高いと現状を認識しておりま す。このような状況の中、利益、不利益、損だ得だで考えることは短絡的と市長は話されましたが、 これがどうして短絡的なのでしょうか。県内の市では最悪、全国の市の中でも極めて悪い財政状況の 富岡市には、当面の不利益や損を許容できる余裕などどこにもありませんし、逆にこうした現状を把 握できずに、ただ最終目標に向かって前進あるのみでしたら、その考え方の方こそ短絡的であると私 は強く思います。10年先の利益のためにこの二、三年の不利益には耐えることよりも、この二、三 年は不利益になることを極力回避し、財政状況を改善することこそ最優先課題であるというのが、富 岡市財政に対する私の基本的な考え方でございます。 では、ここから、もう少し具体的な内容に入ります。下仁田町との合併は、富岡甘楽広域圏に向け た一定の道筋を整えるものと市長はお話しされましたが、もしも最初に下仁田町と合併し、その後仮 に南牧村、そしてさらにその後甘楽町というように一つずつ合併を繰り返していった場合、億の単位 と考えられる電算システム統合の莫大な費用を何度も支払う上、職員の合併事務経費も巨額になるな ど、富岡市の財政にさらなる大きなダメージを与えることが危惧されます。そこまで非効率な税金の 使い方をしてみずからの財政を追い詰めてまで、なぜ広域合併をあえて進めなければならないのか、 私には理解できませんし、多くの市民の方も疑問に感じておると思います。そこで、この件について 二つ質問いたします。 まず一点目は、最終目標が広域合併であるとしても、ただいま申し上げたような、今後一つずつ合 併を繰り返していく非効率な方法と、一気に富岡甘楽広域圏で合併する効率的な方法の2種類があり ますが、この二つの場合のコスト面での比較を、推計できる範囲でご説明ください。 そして、2点目です。現在の財政を考えますと、当面の間富岡市は財政的に合理性の高い方向へ進 まなければならないかと思いますが、あえてその合理性には目を閉じ、少しでも合併を進めたいとす るその方針は、市長選の公約だからなのでしょうか。それとも、公約とは全く関係なく、客観的に1 人の政治家として富岡市民の利益、富岡市の発展のためには広域合併が不可欠との判断からなのでし ょうか。実は私も、さきの市長選が行われた本年4月の時点では富岡市の財政状況がこれほど悪いと いうことは知りませんでしたので、広域合併は推進すべきと考えていました。しかし、ここまで厳し い財政指標がそろいますと、富岡甘楽全体の将来展望よりも富岡市の財政破綻を回避することの方が 優先すべき課題と考え、財政状況が改善するまで合併は避けるべきと現在は思っております。私はこ の数カ月の間に合併についての考えを大きく変えましたが、4月の時点から周囲の環境が大きく変化 した現在も、首尾一貫して広域合併を推進する理由をお聞かせいただきたいと思います。 また、話は少々変わりますけれども、富岡市は今後の合併について現時点では三つの選択ができる と思います。その中で私が一番望ましいと思うものは、今は新たな合併などを考えず、旧富岡市と妙 義町が一つの市として一日も早く連帯感を持てるよう、現在の富岡市のことに集中するという、合併 はあえてしない選択です。そして、2番目に望ましいのは、将来的なことを考え、どうしても合併を 選択するならば、平成22年3月末の合併新法の期限内に富岡甘楽広域圏で一気に合併することであ ると考えています。そして,最も避けるべき3番目の選択は、下仁田町とだけで合併することです。 せっかく莫大な費用をかけて合併したとしても、最終目標である広域合併にはさらなる費用もかかり ますし、広域合併実現のためという視点から考えても、大きな意義や意味があるとは思えないからで す。 ここからは、下仁田町との合併が広域合併実現に大きな意味がないことを私なりの解釈で説明させ ていただきます。まず、市長は、富岡甘楽広域圏の四つの市町村で合併することが最終目標というお 考えを持っておられます。そして、現状では、この広域合併について富岡市と下仁田町は前向きであ るものの、甘楽町と南牧村は合併への意向を示しておりません。となれば、広域合併が実現するか否 かは甘楽町と南牧村の意向次第で決まるということとなります。表現を変えれば、富岡市と下仁田町 が合併してもしなくても、広域合併には関係がないわけです。つまり、現在の富岡市、下仁田町、甘 楽町、南牧村の4市町村で広域合併を目指しても、甘楽町と南牧村が賛成しなければ合併は実現しま せんし、仮に下仁田町を編入した新富岡市と甘楽町、南牧村の3市町村で広域合併を目指しても、や はり甘楽町と南牧村が賛成しなければ広域合併はできません。ということは、市長がお話しになった 広域合併を実現するために、そのステップとして下仁田町との合併を進めたいという内容に大きな疑 問が生じます。下仁田町と合併してもしなくても、広域合併が実現するか否かは甘楽町と南牧村次第 なわけですから、広域合併への一つのステップとして富岡市と下仁田町の合併が必要という論理は、 かなり無理があることになるかと思います。 そこで、2点お伺いいたします。まず一つ目は、客観的に見て、下仁田町と合併しても、最終目標 である広域合併実現のためには何も意味がないと思いますが、下仁田町との合併は広域合併のために どのような理由で必要であると市長はお考えなのでしょうか。 また、二つ目は、甘楽町、南牧村の意向次第で広域合併ができるか否かが決まるのなら、富岡市は 下仁田町とあえて合併せず、今のままで待つことが広域合併に向けた方法の中では最もローコストで、 富岡市の財政にも負担がない最高の方法であると私は考えますが、どうしてこの方法では問題がある のでしょうか。 以上、第3質問といたします。ご答弁のほど、よろしくお願いいたします。

〇議長(勅使河原喜夫君) 市長。

〇市長(岩井賢太郎君) 茂原議員さんの再々質問に順を追ってお答えをいたします。 初めに、合併を繰り返していく方法と一気に富岡甘楽広域圏で合併する場合のコスト面での比較に つきましてお答えをいたします。合併関連経費につきましては、職員の人件費や電算システム統合経 費、事務的経費として合併協議会への負担金などが必要となるわけでございます。そして、この経費 につきましても、当然のことながら合併単位ごと、つまり合併協議会の設置ごとにそれぞれ必要とな ってくるものでございます。現段階では、具体的、個別的な合併協議には入っておりませんので、ど のような経費が発生し、どの程度の金額が必要になるのかは詳細にはわかりませんが、富岡市と妙義 町との合併を例にして、合併前の旧富岡市が要した経費についてお答えを申し上げます。 まず、人件費につきましては約6,500万円、次に電算システム統合経費が約2億1,250万 円、合併協議会負担金が約3,197万円でございまして、合わせて約3億947万円でございます ので、仮にこれを富岡市と下仁田町に置きかえますと、富岡市としてはほぼ同額の経費が必要と考え られます。さらに、下仁田町との合併の後に南牧村と甘楽町の合併ということになりますと、やはり 同額の経費が発生するということでございます。しかし、それなりの経費は発生すると考えますが、 電算システム統合経費が約3分の2を占めることから、富岡市のシステムに統合いたしますと、かな りの経費節減につながることも考えられますし、合併の方法も対等でなく編入でありますので、事務 経費も節減できるものと考えております。 次に、少しでも合併を進めたいとする方針は市長選の公約か、1人の政治家として富岡市の発展の ため広域合併が不可欠との判断からかとの質問でございますが、市町村合併につきましては、さきの 市長選におきまして、富岡地域をもう一度見直し、市町村合併をさらに進めたいという考え方を市民 の皆さんに訴えてまいりました。私が市町村合併の推進を掲げましたのは、先ほどの再質問で答弁を 申し上げましたように、富岡市と妙義町との合併は広域合併の協議の過程の中で成立したものであり、 決してベストの組み合わせではなく、富岡市にとりましては最終的な合併ではないとの理由からであ ります。また、市町村の行政運営は、地方自治法が根拠法令となっておるわけでございますが、地方 自治法第2条には、「地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公 共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない」との規定がされております。この 自治法第2条の規定が市町村合併の根拠の一つになっておるわけでございますが、私は一人の為政者 として、近隣町村との協力関係を保ちながら、規模の適正化に努める必要があるものと感じており、 しかも、それは機を見て敏でなければならないと考えております。そして、そのことが結果的に富岡 市の発展の基礎を築くものであろうと思っております。したがいまして、私といたしましては、市長 選の公約と一人の政治家として富岡市の発展のために広域合併が不可欠との判断の両面の理由から、 合併を進めてまいりたいとするものであります。 次に、下仁田町との合併は、広域合併のためにどのような理由で必要であると考えるのか、また甘 楽町と南牧村の意向次第で広域合併が決まるのであれば、下仁田町とあえて合併せず、待つことが、 富岡市の財政にも負担がない最高の方法ではないかとの質問につきましては、関連がございますので、 あわせてお答えをさせていただきます。 去る8月18日に口頭にて、また8月24日に文書にて、下仁田町長さんから富岡市との合併の申 し入れがされたところでございます。下仁田町の総意として富岡市との合併を望んでいるところでご ざいますので、広域圏を組織する市町村の代表市として、富岡市は富岡甘楽広域圏を取りまとめる大 きな役割を担っておりますとともに、広域市町村の良好な関係を確保しなければならないということ からも、これを拒否することは忍びないところでございます。まずは合併の申し入れを真摯に受けと め、合併協議のためのテーブルに着くべきであろうと考えております。ただ、再三申し上げておりま すように、富岡甘楽広域圏での合併は大きな目標でございますので、下仁田町との合併協議と並行し て、南牧村と甘楽町とも合併協議の糸口をつかみたいと考えております。したがいまして、下仁田町 との合併協議の中で、南牧村、甘楽町がともに加わっていただくよう、最大限の努力をしてまいる所 存でありますことを申し添えまして、再々質問の答弁とさせていただきます。