◎ 続・一般質問
〇議長(勅使河原喜夫君) 休憩前に引き続き、一般質問を行います。4番議員 茂原正秀君、ご登壇、ご質問願います。4番。
(4番 茂原正秀君登壇)
〇4番(茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、さきに通告いたしました2件について壇上より質問いたします。
 まず一つ目は、小中学校図書館の蔵書数の現状についてを伺います。子供たちの国語力の低下というものが昨今大きな問題になっています。これを示す具体例を挙げますと、2004年末には日本の子供たちの読解力低下を示す国際学力調査結果が公表され、これを受け文部科学省では、昨年10月に読解力向上のためのプログラムを急遽まとめました。また、子供たちにしっかりした国語の力を身につけさせることの重要性を訴えている数学者 藤原正彦氏の著書が空前のベストセラーになるなど、今やこの問題は国民の多くが関心を持つものとなりました。
 子供たちの国語力の低下については、この一、二年の間に特に大きくクローズアップされるようになってきましたが、文部科学省ではこれよりも以前からさまざまな対策を打ち出してきました。その中の一つとして、「学校図書館図書整備5カ年計画」というものがございます。これは、平成14年度から平成18年度までの5年間に地方交付税措置により学校図書館図書資料の計画的な整備を進めようとするものです。具体的な内容に触れますと、平成5年に文部科学省では、学校図書の充実を図り、児童生徒の健全な教養を養成するため、学校図書館図書標準という学校図書館に整備すべき蔵書数を定めました。もちろん整備すべき蔵書数は児童生徒の数により異なりますが、それぞれの学校規模において必要な蔵書数を達成するために、文部科学省では特別な予算を設け、5年という期間の中で計画的に整備するよう自治体に促してきました。
 しかし、大変タイムリーですばらしい施策ではありますが、実現において難しい点もあります。それは、地方交付税で措置されることにより、せっかく学校図書を整備する目的で自治体に交付された予算分が別の費用に回されてしまい、本来の趣旨のために使われない場合が多々あるということです。実際今年度の平成18年度は、この5カ年計画の最後の1年に当たりますが、富岡市内の学校図書館の中には文部科学省が定めた必要な蔵書数から現在でもかなり不足しているところがあるようです。国語力の低下の大きな要因とも考えられる読書離れに歯どめをかけるため、朝読書の時間を設けている学校も多いようですが、肝心の本が不足している現状では、せっかくのすばらしい試みも大きな成果を上げることは困難ではなかろうかと、私は強く懸念しています。以上の内容を踏まえた上で、この件について質問いたします。
 文部科学省による学校図書館図書整備5カ年計画は今年度で終了いたしますが、市内の小中学校における現在の図書館の蔵書数は、文部科学省の定めた図書標準の冊数と比較してどのような状況なのでしょうか。
 続きまして、2件目についてですが、妙義地区に建設予定の特別養護老人ホームを公設公営で運営することについてを伺います。妙義地区に建設予定である特別養護老人ホームの施設運営は、富岡市が建設し、富岡市が運営していく公設公営で行うことになっております。しかしながら、官から民へという時代になぜ公設公営なのかという疑問の声や、今後人口減少や少子高齢化などで富岡市の財政状況はさらに厳しくなることが予想される中、公設公営で新たな施設を運営し、万一大きな赤字が毎年出るようなことになっても大丈夫なのかという不安の声も市民の皆様の間にはございます。
 そこで、この件につきまして一つ質問いたします。富岡市が公設公営で特別養護老人ホームを建設、運営することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
 以上を壇上からの質問といたします。ご答弁のほどどうぞよろしくお願いいたします。
〇議長(勅使河原喜夫君) 市長。
(市長 岩井賢太郎君登壇)
〇市長(岩井賢太郎君) 4番 茂原議員さんの質問に順を追ってお答えいたします。
 初めに、小中学校図書館の蔵書数の現状についてをお答えいたします。現代社会においては、国際化、情報化の進展や価値観が多様化するなど、人々の生活環境が急速に変化してきております。このような中で、一人一人がみずからの生き方を主体的に考え、変化に対して柔軟に対応していく力を持つことが求められております。特に物事を的確に判断できる分析力や論理的な思考力、創造力などを身につけることとともに、我が国の先人たちの築き上げてきた伝統的な文化を理解し、豊かな感性や情緒を備え、幅広い知識や教養を持つことが必要であります。国語は、これらさまざまな能力や感性などと大きくかかわるものであり、文化の基盤をなすものであります。また、さまざまな学問や技術を学ぶにも、この基礎となるものは国語であって、文化の継承と創造に欠くことのできないものでもあります。さらには、国際化が進展する中で、外国語の能力を身につけることの重要性が言われておるところでございますが、そのためにもまず自国語で自分の意思を明確に表現できる子供たちの育成が重要であると考えます。
 ご質問の内容につきましては、教育に関する内容でございますので、教育長から答弁をいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、2点目の、妙義地区に建設予定の特別養護老人ホームを公設公営で運営することはどのようなメリットがあるのかとのご質問にお答えをいたします。茂原議員さんもご承知のように、平成17年度に旧妙義町において建設計画を進めておりました特別養護老人ホームにつきましては、公設公営方式を基本として定員50床のユニットケア形式(全室個室)及び5床のショートステイの特別養護老人ホームを設置することで、合併協議により旧妙義町から新富岡市に現在引き継いでおります。そして、現在特別養護老人ホームを建設すべく実施設計を進めておるところであります。
 茂原議員さんご質問の公設公営のメリットにつきましては、経営母体が安定しており、安心して入居者が入居できることや、類似の他施設のモデル的指針となる特別養護老人ホームの運営等が挙げられると思います。しかし、現在地方自治体を取り巻く環境は、ご承知のように、国の三位一体改革や地方分権の推進により、地方自治体においてはまことに市民に必要な行政サービスをより簡素で効率的な行政運営を図ることが求められております。また、厳しい地方財政の状況下におきまして徹底した行政改革を推進するために、国が推し進めております民間活力を生かして、民間ができることは民間にということが主流となっており、公の施設を指定管理者制度により、行政サービス等を民間法人のノウハウにより効率的な運営を民間法人にゆだねることが求められております。
 このような中にありまして、地方自治体に求められております究極の使命は市民福祉の向上であり、市民福祉の向上のためにその使命をどう達成するかは手段や方法が異なるにせよ、目指す目的は同様であると考えております。また、現在建設計画を進めております特別養護老人ホームにつきましても、地方自治体の使命を果たすための手段として、公設公営のままで進めるか、あるいは民間法人の活力をかりて、運営については民営化の方向に転換を図っていくかにつきましては、手段や方向が異なるだけで目指すところは同様であると私は思っております。したがいまして、特別養護老人ホーム運営の手段や方法につきましても、今後どの手段や方法を持って進むかにつきましては、議員皆様方のご理解とご協力なくしては進まないものと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 いずれにいたしましても、旧富岡市と旧妙義町との合併によりまして、旧妙義町から継承しました特別養護老人ホームの建設を現時点では粛々と進めることが肝要であると考えておりますので、茂原議員さんにおかれましては特段のご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、壇上からの答弁とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇議長(勅使河原喜夫君) 教育長。
〇教育長(岩井榮壽君) 命によりまして、4番 茂原議員さんの小中学校図書館の蔵書数の現状についてのご質問にお答えいたします。
 近年日本人の国語力をめぐりましてはさまざまな問題を指摘する声がございます。また、茂原議員さんのご指摘のとおり、生徒の学習到達度調査いわゆるPISA調査結果におきまして、読解力に関する問題点が報道されましたのも記憶に新しいところでございます。これらの課題を受け、平成16年2月に文部科学省文化審議会の答申として、これからの時代に求められる国語力について、その重要性と方策が示されました。その重要な柱として、国語力を身につけるための読書活動のあり方が明示されております。また、平成17年12月に文部科学省は、読解力向上プログラムを公表し、学校図書館図書整備5カ年計画の着実な推進により蔵書を充実させるとともに、司書教諭の養成、配置や学校図書館担当事務職員の配置などにより学校図書館を充実させ、豊かな読書活動を図るよう求めております。
 本市におきましては、平成11年度より小学校9校、中学校5校に図書室事務員を配置するとともに、平成15年度より12学級以上のすべての小中学校で司書教諭を任命し、学校図書館の読書センター並びに学習情報センターとしての機能を充実させるよう努めております。本市の平成16年度図書購入費用は、小学校で1学級当たり3万円から5万円となっており、11校すべてが交付モデルを上回る予算を措置し、中学校では1学級当たり5万円前後となっており、交付モデルを上回っているのは4校ですが、他の2校につきましても交付モデルとほぼ同等の予算を措置しております。
 さて、茂原議員さんの市内小中学校における現在の蔵書数は、文部科学省の定めた図書標準の冊数と比較してどのような状況なのかとのご質問ですが、平成16年度末現在市内すべての小中学校におきまして学校図書館図書標準を達成している学校数は、小学校においては11校中8校、中学校においては6校中1校となっております。市全体の達成率は、小学校72.7%、中学校16.7%となり、これを群馬県全体の達成率と比較いたしますと、小学校は4.6ポイント上回っておりますが、中学校は37.6ポイント下回っていることとなります。達成していない学校の状況を申し上げますと、小学校においては1校が90%以上、2校が80%以上の達成率ですが、中学校においては90%以上が1校、60%以上が2校、50%以上が2校となっております。平成16年度末における近隣の市の状況を見ますと、安中市は小中学校ともに100%、高崎市は小学校100%、中学校93.8%、藤岡市は小学校11.1%、中学校ゼロ%の達成となっており、市町村による差が大きいようでございます。
 現在ある図書を有効活用する手段といたしまして、各学校では朝読書の時間の設定、ボランティアによる読み聞かせ活動の実施、図書室事務員、司書教諭によるカンファレンスやブックトークの実施、市立図書館と連携したスタンプラリーによる「読書の達人」等の望ましい読書指導に取り組み、本を読むこと自体が楽しいと言える子供たちの育成を目指した読書への興味、関心を高める環境づくりに努めております。また、蔵書不足を補う手だてといたしましては、市立図書館との連携により一定期間図書を各学校へ貸し出すことができるようになっております。このことにより、総合的な学習の時間や教科学習、学校行事の事前学習等において必要な資料を事前に準備することができ、学校図書館の図書とあわせて、児童生徒の図書資料を活用した学習の充実が図られておるところでございます。
 学校図書館図書標準の算定方法につきましては、学級数をもとにしているため客観的な基準的数値としては課題もございますが、現状を真摯に受けとめ、学校図書の充実に今後努力してまいりたいと考えております。
〇議長(勅使河原喜夫君) 4番。
〇4番(茂原正秀君) まず、詳しい数値データをもとにしたご説明をいただきまして、ありがとうございました。市内の小中学校における学校図書館蔵書数の現状を把握することができました。また、平成11年度より学校規模に応じて図書館事務員を配置するなど学校図書館の充実のために当局もご努力、ご配慮をしていただいていることもわかり、心強い思いがいたしました。
 ご答弁の内容を整理しますと、ポイントが二つあったかと思います。一つ目の内容は、平成16年度末現在小学校は11校中8校が学校図書館図書標準の冊数を達成しており、残りの3校も80%以上の達成率ということでした。市内の小学校について見れば、群馬県全体の達成率を超えているというお話ですので、小学校においてはかなり充実した図書環境が整っていると言えるかと思います。
 しかしながら、2点目の中学校については、大きな問題点が浮かび上がってきました。市内6校の中学校の中で達成している学校はわずか1校のみ。しかも、残りの5校のうち1校は90%以上の達成率であるものの、4校は50%台から60%台という達成率であるとのご説明をいただきました。小学校の蔵書数については大きな問題はないと考えられますので、ここから先は中学校の図書館のみに話を絞っていきたいと思います。
 実は、私以前からこの件については強い関心を持っておりまして、さまざまな資料を集めてきました。その中の一つに、群馬県内の全公立中学校における平成16年度末現在の学校図書館図書等の整備状況調査結果という資料がございます。先ほどご説明いただきました市内の中学校6校のうち50%台が2校、60%台が2校あるという実態をこの県全体のデータに照らし合わせてみますと、大変残念な現実が見えてきます。皆さんにもこの状況をわかりやすく申し上げますと、群馬県内には現在175校の公立中学校がございます。その中で達成状況が50%未満の学校というのは何校ぐらいあるかとお考えでしょうか。何とわずか3校しかございません。また、達成率75%未満の学校という分類で数えた場合でも、県内175校中わずか33校しかないのです。つまり簡単に述べますと、富岡市内の中学校6校のうち4校は、群馬県の中学校の中で達成率が低い方の33校の中に入ってしまう。さらに言えば、50%台の2校については、県内の達成率ワーストテン、悪い方から10番以内に入ってしまう可能性も極めて高い状況であるということです。県内175校の公立中学校の中で図書の達成率が低い方から数えて10番以内に富岡市の中学校2校が入ってしまっている可能性が極めて高いことがわかり、私は一人の議員として、また一人の市民として、さらには一人の保護者として大きなショックを受けております。もちろん学校図書館の蔵書数だけで教育環境がよいとか悪いとか決めつけることはできませんし、評価できるものでもございません。しかし、学校図書館図書整備5カ年計画の最後の年に入っているのにもかかわらず、客観的な数値で現在の達成率が極めて低い現状が示されますと、富岡市は学校図書館の整備についてこれまで何をしていたのかという疑問と、こうした状況を本気で改善しようという考えを富岡市は持っていないのではないかという疑念が生じると言わざるを得ません。
 そこで、この点につきまして市長のお考えをお伺いします。先日の所信表明の中で教育についても触れられておりましたが、県内でもかなり低いレベルにある富岡市の中学校図書館の整備を今後早急に進めていく具体的な計画をお持ちでしょうか。
 続きまして、特別養護老人ホームについてですが、ご答弁ありがとうございました。大変回答するのが難しい問題についてお答えいただきましたことに対し、まずは感謝を申し上げます。しかし、回答の内容につきましては、個人的には全く納得のいくものではございません。特別養護老人ホームを公設公営で運営するメリットは、経営母体が安定しており、安心して入居者が入居できることや、類似の他施設のモデル的指針となる運営ということを挙げられておりましたが、とてもこの程度のメリットのために施設建設にまず5億円の借金、さらに40名ほどの職員を配置し、毎年億の単位の人件費をかけていくことなど、現在の富岡市の財政状況を考えれば許されることではないのではないかと私は強く思います。そもそも富岡市が公設公営でこの特別養護老人ホームを運営しても、富岡市民を優先して入居させることができるわけでもなく、また富岡市民ならば特別安く入居できるわけでもないとしたら、市民にとっては公設公営のメリットなどないのではないでしょうか。それどころか、本来ならほかで使われるべき予算の分までこの施設運営に回されてしまう危険性が生じることを考えれば、この公設公営という運営方法は市民にとっては大きなデメリットであり、最も好ましくない方法であると私は思います。
 先日の市長の所信表明の中にも、市有施設を民営化するという内容がございました。さらに、時代のベクトルも完全に官から民へと向かっています。ここは一度立ちどまる勇気を持って、公設公営というプランを見直すべきであると私は考えていますが、この点について市長のお考えをお聞かせください。
 以上、第2質問といたします。よろしくお願いいたします。
〇議長(勅使河原喜夫君) 市長。
〇市長(岩井賢太郎君) 4番 茂原議員さんの再質問にお答えをさせていただきます。
 初めに、中学校図書室の具体的整備計画はあるのかとの質問でございますが、群馬県におきましては平成16年に群馬県子ども読書推進計画を策定し、「本との出会い!)ぐんまの子どもにすすめたい本200選!)」を県内小学校5年生に配布したり、司書教諭や学校図書館関係者の研究協議会を設けたりするなど読書活動の充実に努めてきております。このような背景もあり、群馬県の学校図書館図書標準の達成率は、小学校は全国で第4位、中学校は全国で第3位となっております。つまり群馬県は全国的に非常に高いレベルにあり、そのような状況の中で富岡市との比較を申し上げたところでございます。
 先ほど教育長も答弁いたしましたが、富岡市ではこれまで文部科学省の示した交付モデルに準じた予算を配置しており、その使途につきましては学校長に一任しておるところでございます。学校図書の購入につきましては、内容を問わず低価格の図書を購入すれば冊数は当然ふえますが、その本が児童生徒の読みたい本であるが、学習で活用できる本であるかは別の問題であります。したがいまして、子供たちにとって価値ある本を選定していくということは、単純に冊数だけでは比較できないところでございます。いずれにいたしましても、中学校の図書標準の達成率が低いことは茂原議員さんのご指摘のとおりでございますので、今後子供たちにとって価値のある図書の購入についてさらに検討するとともに、購入した図書を効果的に活用できるよう読書指導や読書活動の充実に向けて努力してまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 次に、2点目の特別養護老人ホームについて、時代のベクトルも完全に官から民へと向かっており、ここは一度立ちどまる勇気を持って公設公営というプランを見直すべきであるとの再質問についてお答えをいたします。全く私もそのとおりだと理解をいたします。しかし、私は旧妙義町が進めてきた特別養護老人ホームの定員50床のすべてが全個室型のユニットケア形式でなければならないのか、また建設と運営が公設公営方式でなければならないのか、この2点については以前からなぜこの方式なのかと疑問を感じておりました。それは、昨年10月の介護保険法の改正により、国の示しております全個室型のユニットケア形式は、従来型の多床室に比べ施設利用者の負担は多くならざるを得ませんので、負担の軽減を図るため多床室も半分ぐらいは設置したいと考えております。
 また、議員の皆さん方もご承知のように、これまでに旧富岡市内において既に設置されている特別養護老人ホームについては、すべてが民設民営であります。また、甘楽郡下2町1村に既に設置されております特別養護老人ホームの甘楽町のシルク、下仁田町のかぶらの里、南牧村のさわやかホームの3施設につきましても、町や村等が設立した社会福祉法人が設立から運営までを民設民営で行っており、町や村が直接公設公営で運営しておりません。このように、民間のできることは民間にという流れの中にあって、現在計画されている特別養護老人ホームを建設から運営まで市が直接行っても、民間の社会福祉法人が行っても、現行の介護保険制度の細部にわたる基準等によりまして、施設利用者が受けます介護サービスや利用者負担等につきましては基本的に変わるものではありません。
 そこで、市長に就任しましてから早速県の高齢政策課を訪問し、旧妙義町から引き継いだ特別養護老人ホームについて、まず1年間凍結してもらいたい。なお、多床室を半分くらいは設置することができないか。また、公設公営でなく、白紙に戻し、民設民営にすることはできないのかと県に強く問いただしました。これに対し県からの回答では、公募した認可条件が全個室型のユニットケア形式であり、従来型の多床室では補助対象外である。また、公募した条件の中で旧妙義町に設置することについては、平成15年度から平成19年度までの5カ年計画で定められている現在の群馬県高齢者保健福祉整備計画の中にある18年度における特別養護老人ホームの整備計画での50床については、旧富岡市を除く甘楽郡下の3町1村に割り当てられた50床であり、県が調整に入り、甘楽郡下の3町1村が話し合いにより旧妙義町に設置することになったものであると県から聞かされております。また、県が公募し、有識者等を入れた正式の選定委員会の選定により、旧妙義町に設置を認可したものであるので、仮に白紙に戻すとしても、18年度に割り当てられた50床はもともとが甘楽郡下の3町1村に割り当てられた50床であり、仮に旧妙義町を引き継いだ新富岡市が要らないということなら、合併した旧妙義町を除く2町1村を対象にこの50床をどうするか、再度協議することになると思うので、県としては旧妙義町に特別養護老人ホームを設置することの保障はできないとのことでありました。
 したがいまして、旧妙義町に特別養護老人ホームを設置するためには、今のところほかに方法はなく、熟慮に熟慮を重ねた結果、現在の認可条件を仕方なくのみ、公設で進むしかないとの判断を決断したものでございます。しかし、特別養護老人ホームの運営につきましては、メリット、デメリットを考えまして、後世に憂いを残さないよう、この問題をもう一度慎重に検討していく必要があろうかと思います。
 なお、運営を民間にゆだねるとした場合には、ここにおられます議員皆様方のご理解とご支援が必要となりますので、特段のご理解を賜りますようお願い申し上げまして、答弁とさせていただきます。
〇議長(勅使河原喜夫君) 4番。
〇4番(茂原正秀君) ご答弁ありがとうございました。
 まず、学校図書館の方なのですけれども、いただいたお話を整理してみますと、まず群馬県の中学校は学校図書館図書標準の達成率は全国第3位という高いレベルにあると。そうした高いレベルの群馬県の中では富岡市内の中学校の達成率は低く見えてしまうが、全国の中学校という範囲で考えれば問題はないということをおっしゃられたのかなと、ただいまちょっとそういう感じがしました。しかし、もしもそのようなご趣旨のお話であったとしたなら、さまざまな観点から違和感を持たざるを得ません。
 例えば富岡市は、平成12年12月に生涯学習都市宣言というのをしております。その、まなびの里 生涯学習都市 とみおかの中学校の図書館に実は余り本がないというのでは、市民の皆さんに対してちょっと示しがつかないのではないかなと、そういう気がいたします。群馬県内の175の公立中学校の中で下の方から33番以内に入ってしまっている四つの中学校の生徒や保護者の皆さんは、自分の学校の現状を知ればこれはがっかりすると思います。ましてやワーストテン、下の方から10番以内に入っている可能性の高い2校の皆さんにすれば、これは大きな不満を持たれることと思います。まだまだ申し上げたいことはたくさんあるのですけれども、余り申し上げても話の焦点がぼけてしまいますので、この件につきましては最後に1点だけ、生涯学習都市とみおかにふさわしい学校図書館の早急な実現を要望させていただき、終わりにしたいと思います。子供たちの教育は、市民の皆さんの関心が極めて大きい分野のことですので、米百俵の精神を持って、当局には積極的に進めていただきますよう強くお願いいたします。
 そして、2点目の特別養護老人ホームの件については、市長の率直なお考えをお話ししていただきまして、ありがとうございました。今でも個人的にしばしば考えることなのですが、もしも民設民営にできれば、これはあくまでも仮定の話ですけれども、建設のための借入金5億円はまずなくなります。それだけの金額を別の予算に回すことができれば、先ほどの中学校の図書整備などそのほんの一部の金額で簡単にできてしまうと思います。また、老朽化した学校の体育館とか、ちょうど建設後50年という文部科学省の建てかえ基準を迎える吉田小と富岡中2校の体育館などは、そういうものも一挙に建てかえが可能な数字かと思います。このように考えますと、私は個人的には何としてもこの公設公営という計画を見直していただきたいと今も強く感じています。
 しかしながら、ご説明を聞きまして、公設という部分については変更するのは困難な部分があるということもわかりました。となりますと、公設を変えることが不可能ならば、せめて運営だけでも富岡市が行うのではなく、民間に任せるべきなのではないでしょうか。この特別養護老人ホームを公営で行えば、この運営コストは今後の富岡市にとって大きな財政負担になる可能性が高いと思います。現在富岡市の職員数は486名と聞いておりますが、この人数からしても、もしも民営で行えば1人も必要もなかった部署に40名前後の職員を配置するというのは、余りにもコスト意識が欠落し、行政として行うべき優先順位を見誤った計画なのではないかと私には思えてなりません。32名の議員の中で公設公営を見直すべきと考えているのは私一人かもしれませんし、もしかしたら多数いらっしゃるのかもしれません。しかし、どちらにしてもこの市議会の中に少数派かもしれませんが、計画の見直しの意見がある以上、当局の皆様には再度熟考を重ねていただきたいと思います。
 また、この老人福祉施設関連の話というのは、施設の建設に大きなお金がかかるということもあり、また県の許可も必要であったり、また介護保険から支払われる金額も大きいということで複雑な感情をお持ちの市民の方が多いのが現実です。今回公設公営で進んでいる計画に対しても、残念なことですが、不透明な印象を持たれている市民の皆様がたくさんいらっしゃいます。また、私がこの場で公設公営は見直すべきだと訴えると、何か特別な思惑があって言っているのではないかと、そう見られてしまうかもしれないほどこの問題は難しい状況です。当局の皆様には、ぜひともこのような現状をしっかりと受けとめた上で、市民の皆さんが納得できる透明性の高い方法で、さらに本当に富岡市民全体の利益になる方向でこの件につきましては進めていただきますことを最後に強くお願いいたしまして、私の一般質問は終了したいと思います。
 ありがとうございました。