○議長(勅使河原喜夫君) 次に、6番議員 茂原正秀君、ご登壇の上、ご質問願います。6番。
(6番 茂原正秀君登壇)
○6番(茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、先に通告しました、市内の小中学校施設におけるアスベスト使用状況の実態についてを質問いたします。
 昭和62年、学校施設における発がん性物質アスベストの使用が大きな社会問題となり、当時、文部省は全国の学校施設でアスベスト使用状況の実態調査を行いました。その結果を踏まえ、多くの学校施設ではアスベストを除去するための対策工事が行われましたが、これにより、この学校施設におけるアスベスト問題は既に解決したものと長年考えられてきました。
 ところが最近、アスベスト製品を過去に製造していた企業の従業員が、がんの一種である中皮腫という病気で死亡したと相次いで報告されたことから、このアスベストによる健康被害は再び大きな社会問題という様相を呈するようになってきました。
 このように、社会的な不安が高まる中、文部科学省は去る7月29日、全国の学校施設でアスベストの使用実態調査を再度行うとの発表をしました。今回の調査は、教室や体育館に限定された前回の調査からさらに踏み込み、給食室や廊下、通路なども含めたすべてが対象となっておりますが、調査が進むにつれ、アスベストが使用されている学校施設は、現在でも全国的にかなりの数があることが判明してきました。身近なところでは、県内の館林市におきましても、市立第五小学校の天井材にアスベストが含まれていたことが判明し、改修工事が行われるなどの例も出ております。
 以上の内容をご理解していただいた上で、2点質問いたします。
 まず、1点目ですが、昭和62年に行われた市内の学校施設におけるアスベスト使用状況の実態調査は、どのような結果であったのでしょうか。
 そして、2点目は、今回の再調査では前回よりも細かい内容のものまでが対象となっておりますが、現時点での結果をお聞かせください。
 以上、壇上からの質問といたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(勅使河原喜夫君) 市長。
(市長 今井清二郎君登壇)
○市長(今井清二郎君) 6番 茂原議員さんの、市内の小中学校施設におけるアスベスト使用状況の実態について、とのご質問にお答えをいたします。
 新聞等で報道されておりますように、近時、アスベスト関係に長年従事された方々に対する労災補償、また、アスベストに起因した肺がんや悪性中皮腫等の病状により死亡される方など、さらに最近では、中国から輸入された子供用自転車のブレーキ部分にもアスベストが使用されているとのことで、アスベストによる健康被害が改めて大きな社会問題となっております。このアスベストの有害性が指摘されましたのは、茂原議員さんご指摘のように、昭和62年当時でありまして、この使用状況について、教育施設につきましては、当時の文部省が全国の公立学校を対象に、実態調査を実施した経緯がございました。
 そこで第1点目の、昭和62年に行われた市内の学校施設におけるアスベスト使用状況の実態調査はどのような結果であったのか、とのご質問にお答えをいたします。
 当時の調査は、昭和51年以前に建設された非木造の建物が対象でありまして、調査の内容は、天井の吹付け石綿の使用で、調査箇所は普通教室、特別教室、体育館、寄宿舎が調査の対象でありました。また、対象となった製品としては、主にトムレックス、ブロベスト、コーベックスといった製品の使用が対象であったようであります。
 これらを基に、本市の学校施設を調査いたしましたところ、小中学校には対象となるところはなく、唯一、出雲崎臨海学校の天井に、該当するアスベストの使用が認められたとのことで、翌年度に改修工事を実施した経緯がございました。
 次に、2点目の、今回の再調査の現時点での調査結果について、のご質問にお答えをいたします。
 今回の調査は、昭和62年以来、18年を経過した中での再調査でございまして、本年7月29日付けの文部科学省通知により、全国の学校施設を対象に実施することとなったわけでございます。
 今回、調査対象としている建材は、平成8年度以前に建物の工事や改修等に使用した、石綿障害予防規則に定める石綿等で、「吹付けアスベスト」、「吹付けロックウール」、「吹付けひる石(バーミキュライト)」と呼ばれている吹付け石綿と、折板裏打ち石綿断熱材の使用であります。これら建材の主な用途でございますが、吹付けアスベストは、アスベストにセメント等の結合材と水を加え混合し、吹付機で吹き付けたもので、昭和30年ごろから昭和55年にかけて、建築物等の鉄骨材などの耐火被覆、機械室などの吸音、断熱材として壁や天井、はり、柱などに使用されておりました。次に、同様の用途で使用された吹付けロックウールは、吹付けアスベストとよく似た建材でありまして、昭和50年に吹付けアスベストが原則禁止となって以降に、吹付けロックウールに切り替わっておりますが、昭和55年ごろまではアスベストを混ぜて使用されていたようであります。また、吹付けバーミキュライトは、吹付けロックウールとほぼ同様のものであると解説されておりまして、昭和50年ごろまで使用、製造されていたと思われます。次に、折板裏打ち石綿断熱材につきましては、鋼板製屋根用折板等に主として結露防止等のために貼り付けられた石綿を含有する製品で、品名はブルーフェルトと、フェルトンと呼ばれるものでありまして、主に工場の屋根裏面に使用され、ブルーフェルトは昭和41年から昭和47年まで、フェルトンは昭和46年から昭和57年まで、それぞれ使用されていたようであります。また、調査箇所につきましては、前回の調査では普通教室、特別教室、体育館、寄宿舎の天井部分ということでありましたが、今回の調査では、廊下や倉庫などすべての箇所を対象としております。
 これらの使用状況について、市内全校の施設について、現地及び設計図書により調査をいたしました結果、対象となる建材の使用はございませんでした。しかしながら、今回調査した中には、アスベストを含有すると思われるボード類は、ほとんどの学校の一部施設、例えばトイレ、湯沸室等において使用されております。
 文部科学省の調査要領では、これらボード類は調査の対象外としておりまして、その理由といたしまして、アスベストはその繊維が空気中に浮遊、飛散した状態にあると危険であるといわれておりまして、通常の使用状態では、板状に固めた建材の危険性は低いと考えられるためであります。しかしながら、こうした含有建材につきましても、今後の建築物の解体工事等を実施する場合の労働者保護の観点から、関係法令に基づき適切に対処する必要があることから、使用状況についての把握を行うこととしております。
 以上が、本市の学校施設における再調査の結果でございますが、今後も生徒が安全で安心して学業やスポーツに専念できる、快適な施設環境に努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げまして、壇上からの答弁とさせていただきます。
○議長(勅使河原喜夫君) 6番。
○6番(茂原正秀君) 誠に詳細なご回答をいただきましてありがとうございました。
 1点目の質問の、昭和62年に行われた市内の学校施設におけるアスベスト使用状況の実態調査では、小中学校には問題になった箇所はなく、2点目の、さらに厳しくなった現時点での調査結果につきましても、対象となる建材の使用はなかったとお聞きしまして、大変安心いたしました。7月の末ごろから連日、全国の多数の学校でアスベストの使用が見つかり、緊急の工事に取り掛かったという内容の記事が新聞をにぎわせております。富岡市にもアスベストが当たり前に使われていた時代に建設された学校施設もございますので、もしかするとこれまで見落としていたアスベストの使用が出てくるのではないかと懸念していたものですから、心強い安全宣言を聞かさせていただき、市内の保護者の皆さん、そして子供たち、さらには学校関係者の方々もほっとしたことと思います。
 それでは、ここで一つだけ再確認という意味を込めまして伺いたいと思います。
 今回の文部科学省の調査要領では、ボード類は調査の対象外であったものの、市内のほとんどの学校のトイレや湯沸室では、アスベストを含有すると思われるボード類が使用されているという、少々気になる内容がございましたが、このボード類のアスベスト含有比率はどの程度の比率なのでしょうか。また、トイレや湯沸室では、このボード類はどのように使われているものなのでしょうか。
 以上を第2質問といたします。ご回答のほどよろしくお願いいたします。
○議長(勅使河原喜夫君) 市長。
○市長(今井清二郎君) 茂原議員さんから再質問をいただきましたので、お答えいたします。
 茂原議員さんからは、小中学校におけるアスベスト使用状況についての再質問でございます。特に、使用しているボード関係についてのお尋ねでございます。
 お答えにつきましては、教育長から申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(勅使河原喜夫君) 教育長。
○教育長(岩井榮壽君) 命によりまして、茂原議員さんの再質問にお答えいたします。
 まず、1点目の、ボード類のアスベスト含有比率はどの程度の比率なのでしょうか、とのご質問にお答えをいたします。
 はじめに、アスベストを含有していると思われるボード類の種類等について、ご説明いたします。
 このボード類は、総称してアスベスト成形板と呼ばれておりまして、セメントなどで固定された板状のもので、切断等をしない限り、大気中に飛散する可能性は低く、健康への影響はないと言われております。アスベスト成形板の種類といたしましては、一般名称で呼ばれております、スレート波板、スレートボード、けい酸カルシウム板、住宅屋根用化粧スレートなど10種類以上でございまして、さらにこれらを細分化した製品が、約160品目あると言われております。また、これらの製品は、建築物等の解体等の工事についても、吹付けアスベストなどと比較して、飛散の程度が低いことから、大気汚染防止法の届出対象となっておりません。
 ご質問のアスベスト含有比率につきましては、現地及び設計図書により調査いたしまして、アスベストを含有すると思われる製品については把握することができましたが、含有率につきましては、分析機関に調査を依頼しませんと測定することができません。また、文部科学省の調査でも対象外としておりますように、これらボード類は、飛散や浮遊の危険性が極めて少ないことから、市有施設の関係管理課における庁内協議により、使用状況の安定したボード類の分析調査は当面行わないとの共通方針が出されました。
 このようなことから、現状において各学校施設のボード類は安定しておりますことから、他の公共施設と同様にボード類の分析は行っておりませんが、今後、施設の解体や改修工事等を実施する上で必要な資料となりますので、分析調査を行ってまいりたいと考えております。
 次に、2点目のトイレや湯沸室にこのボード類はどのように使われているものなのでしょうか、とのご質問にお答えをいたします。
 アスベストは、耐熱性、耐薬品性、絶縁性等の特性があり、安価な工業材料であることから、建設資材、電化製品、自動車、家庭用品等、3,000種類を超える利用形態があるといわれておりまして、そのうちの9割以上が建築資材の原料として使用され、建築物の壁材や屋根材、外装や内装材などに利用されております。このように建築資材として防火性、耐水性、防音性に優れた建材であることから、本市におきましても、昭和61年以前に建設された学校において、これらボード類が使用されておりまして、使用されております学校数につきましては、小学校では校舎が8校、体育館が7校、中学校では校舎が4校、体育館が3校でございます。
 また、使用されている建材名でありますが、ボード類のほとんどがフレキシブルボードと呼ばれる建材で、社団法人 日本石綿協会の資料によりますと、このボードの品名は12種類ほどありまして、昭和33年から平成16年9月までの間、製造されていたようであります。
 ご質問の、使用の用途につきましては、主にトイレ、湯沸室等、湿気が多い場所や火気を使用する場所の天井部分に使用されておりまして、本市の学校施設におきましても、トイレ、湯沸室、シャワー室等の天井板としてそれを使用しております。
 以上のような状況でありますが、今後このアスベストの関係につきましては、国、県の指導を重視するとともに、学校現場との連携を図りまして、ボード類の使用状況につきましても、その安全性を注視し、子供たちが健康で安心して過ごせるよう、施設の安全管理に努めてまいる所存でありますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げまして答弁とさせていただきます。
○議長(勅使河原喜夫君) 6番。
○6番(茂原正秀君) ご回答ありがとうございました。お話を整理してみますと、まずアスベストを含んだボード類のアスベストの飛散や浮遊の危険性は極めて低いので、今回の文部科学省の調査でもボード類は対象外になっている。また、アスベストの含有比率は分からないが、現状のように安定している状態なら問題はない、とのことでした。文部科学省の調査でも対象外になるほどですから、これらのボード類はアスベストを含んだとしても、ほんのわずかな率であろうかと思われます。
 ただ、通常の安定した状況ならば心配ないボード類でも、ひび割れやきれつ、さらには一部が破損し、崩れるような状況になった場合は、アスベストの飛散の危険性が一気に高まることも予想されます。是非、学校関係者の方々には、アスベストを含んだボード類はどこに使われていて、どのような状態であるかを日ごろから正確に把握し、万一、問題が生じた場合には、適切な対応が早急にとれるような管理体制を築いていただくことを、最後に申したいと思います。
 以上で、一般質問を終了いたします。ありがとうございました。