午後3時12分再開
○議長(齋藤昌平君) 再開いたします。
◎ 続・一般質問
○議長(齋藤昌平君) 休憩前に引き続き、一般質問を行います。次に、6番議員 茂原正秀君、ご登壇、ご質問願います。6番。
(6番 茂原正秀君登壇)
○6番(茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、先に通告してあります2件について質問いたします。
 まず1つ目は、学校施設内での学童保育の早急な実施についてでございます。
 先の6月議会の一般質問で、私は学童保育の現状と今後の展望について、当局のお考えをお尋ねいたしました。現在、全国の1万2,825か所で学童保育が行われておりますが、その42%は小学校の敷地内に専用施設を設けるか、空き教室を利用するなど、学校施設内で行われております。さらに、女性の社会進出や核家族化という社会背景もあり、この学童保育の社会的ニーズは今後ますます強まる傾向にあると同時に、子供たちにとっても最も安全な学校での学童保育は、年々主流となっております。実際、近隣の自治体を調べましても、高崎市では市内32小学校中19校で、また、桐生市では15小学校中現在11校で学童保育が行われております。また、この7月に視察で伺いました岡谷市でも、市内の全小学校におきまして学童クラブという名称で実施されているなど、学校施設内での学童保育は、もはや行うのが当然という段階にきているかと思われます。しかしながら、富岡市では市内9小学校中まだ1つも学校施設内での学童保育は行われておりません。
 この現状を先の一般質問でお伺いしましたところ、大変積極的な回答と、国の補助金のシステムなどのご説明をいただきました。また、学校施設を管理する立場におられます教育委員会からも時代のニーズを認識されたうえで、極めて前向きなご回答をいただきました。さらに、先日行われました富岡市長選では、選挙公報の中で今井市長は、学童保育を学校施設内につくりますと記しておられましたが、当然このことは、市民の皆さんに対して選挙公約として掲げたものと私は解釈しております。以上の説明させていただきました点をふまえたうえで、この件に関し質問をいたします。
 まず、市長にお伺いいたします。富岡市のこれまでの学童保育行政は、市民の皆さんのニーズやご希望に対応できていないと思われる点も多いように感じられますが、市長は選挙公約の1つとして強いリーダーシップを発揮し、早急に学校施設内での学童保育実施に取り組むお気持ちはあるのでしょうか。また、この件は、先の篠原議員と似たような内容になるのですけれど、最近は単なる選挙公約ではなく、期限や目標を設定したマニフェストが注目されております。現時点で、もしも具体的な計画がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
 そして次に、教育長にお伺いいたします。年々進む治安の悪化とともに、子供たちが巻き込まれる犯罪が増加する中、児童の健全育成のためにも、また、子供の安全、親の安心という観点からも、学童保育は学校施設で行うことが最良の方法と私は強く思っております。この点について、学校施設を管理なさっておられる教育長としてはどのようにお考えでしょうか。
 続きまして、2件目は、旧官営富岡製糸場の世界遺産登録と中心市街地再開発についてお伺いいたします。
 去る8月25日に県の定例記者会見におきまして、知事より旧官営富岡製糸場の世界遺産登録に向けたプロジェクトが発表されました。全国的にも知名度が高く、富岡を代表する宝でもあります旧官営製糸場が、あの世界遺産になるかもしれないという話は、正に、市民に大きな夢を抱かせるすばらしいものであり、富岡で生まれ育った者の1人として誇りに思います。先日行われました富岡市長選でも、今井市長はこのプロジェクトを中心市街地再開発と関連させる形で取り上げ、世界遺産にふさわしいまちづくりを訴えておりましたが、世界遺産登録が実現すれば、観光資源としての側面だけでなく、富岡の知名度の大幅なアップや大きな経済効果も期待できますから、一市民として実現に大きな期待を抱いております。
 しかしながら、客観的に考えてみますと、大きな期待も持てる半面、疑問と不安も私は感じております。確かに、旧官営富岡製糸場は日本の近代産業発祥の地として、日本の歴史上では極めて貴重な文化遺産とは思います。しかし、ほかの世界遺産に匹敵するような歴史的遺産としての価値が存在し、果たして世界遺産に登録されるレベルなのでしょうか。具体的に申し上げますと、2002年6月現在、世界遺産は全世界で730件登録されておりますが、日本国内では法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、古都京都の文化財、原爆ドームなどわずか11件だけです。さらに、暫定リストとして、この5年から10年以内に推薦しようとしている物件は、平泉の文化遺産、古都鎌倉の寺院・寺社、彦根城などの5件があると聞いております。私は、文化財についての特別な知識や見識は持ち合わせておりませんが、際立った特徴と大きな存在感を持ったこの暫定リストの物件の中に加わることさえも、現状ではかなり困難なことと思えてなりません。また、世界遺産に登録される基準として、文化財保護法などで保護されている物件であることというものがございますが、現在、旧官営富岡製糸場は国宝や重要文化財ではありませんので、この最初の最低基準さえもクリアできておりませんし、富岡市所有のものでなく、一企業の所有物件でございます。こうした登録申請の手続上でも極めて大きな問題を抱えていることを考慮すれば、県がプロジェクトを発表したものの、世界遺産登録まで千里の道があるとすれば、まだ一里も行っていないと思えてなりません。以上、申し上げましたことをふまえたうえで、質問いたします。
 まず1つ目は、富岡市としては、旧官営富岡製糸場が世界遺産に登録される可能性について、どの程度、現在考えておられるのでしょうか。
 そして、2つ目ですが、仮に世界遺産に登録されることを前提に、世界遺産にふさわしいまちづくりという目標で中心市街地再開発を進めますと、登録されなかった場合、ただ単に必要以上の過剰投資をしたが、何もメリットはなく次世代につけを残しただけ、ということになる可能性も危ぐされます。この危険性を踏まえたうえで、今後どのような方法でまちづくりに関連させていくお考えなのでしょうか。
 以上、壇上からの質問とさせていただきます。ご答弁のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(齋藤昌平君) 市長。
(市長 今井清二郎君登壇) 
○市長(今井清二郎君) 6番 茂原議員さんのご質問に順を追ってお答えをいたします。
 まず、学校施設内での学童保育の早急な実施についてとのご質問にお答えをいたします。学童保育の整備充実につきましては、本年6月議会で茂原議員さんにご質問をいただき、私の考えを述べさせていただいておるところでございます。ご承知のとおり、急速な少子化の進行は、今後、我が国の社会経済全体に極めて深刻な影響を与えるものと予想されることから、少子化の流れを変えるため、昨年9月に厚生労働省において少子化対策プラスワンを取りまとめ、これに続いて、本年7月次世代育成支援対策推進法が成立いたしました。その基本的な考え方は、今、家庭や地域の子供育成力の低下に対応して、次世代を担う子供を育成する家庭を社会全体で支援することにより、子供が心身ともに健やかに育つための環境を整備することにあります。働きながら子供を育てている保護者や養育者のために、また、子育てをしているすべての人たちのために、様々な施策が盛り込まれております。学童保育についても、もちろん、少子化対策推進のため着実に推進するよう講じられております。
 さて、私は、先月行われました市長選挙の際、7つの基本でまちづくりを提言して市民の皆様に公約をいたしました。その1つとして、人が生き生き育つ都市(まち)をテーマに、学童保育を学校施設内につくることを掲げましたが、現状の市財政事情や少子化への支援対策に鑑みますと、既存の学校施設の有効活用が重要課題であるものととらえております。こうした観点から、学校施設に不足を生じることなく、児童生徒の安全及び教育環境への配慮をしたうえで、余裕教室等を地域の実情に即した施設として積極的に活用することが望ましいものと認識をしております。現在では、夫婦共働き家庭や母子・父子家庭はますます増えており、働くことと子育ての両立のために、小学校区域内に安心して子供を受け入れられる学童保育が欲しいという声は、日を追って強くなってきております。先日は、富岡市PTA連合会の母親委員会から要望、質問がありましたが、夫婦共働きのため、実家も遠く頼れる人もなく、毎日子供を預かってもらう手配をするのが日課、という切実な問題を抱えている方もありまして、仕事と子育ての両立のために欠かせない学童保育へのニーズが確実に広がっております。
 茂原議員さんご指摘の、学校施設内での学童保育は子供たちにとって最も安全であり、近年多発している凶悪な事件から子供を守ることからして、最も良い方法と考えます。学童保育は、子供たちが放課後、家庭で過ごすのと同じように休息したり、おやつを食べたり、友達と遊ぶ施設であります。例えば、学童保育から地域の活動に参加する子供もいます。学童保育は、子供たちにとって放課後の生活の場そのものといえるようでございます。このようなことから、現在、国では学童保育などの子育て支援のための拠点施設を市町村が整備する場合に、大変有効な補助制度を用意し、その推進を図っております。例えば、余裕教室を学童保育施設に転用し、改築する場合には3,000万円、また、設備整備に必要な備品購入費等に650万円が、それぞれ定額で交付されます。さらに、学校敷地内に学童保育施設を新築する場合には1,120万円が、設備整備に101万5,000円が、それぞれ定額の補助金として交付されます。また、他市の学校敷地内専用施設と余裕教室を利用した施設について、保育現場を視察いたしましたところ大変参考になりましたので、このこともふまえまして、教育委員会を始め、学校長と実現化に向けた調査検討を進めてまいりたいと考えております。学校施設の利用につきましては、教育長をご指名でございますので、教育長からお答えをさせていただきます。
 次に、旧官営富岡製糸場の世界遺産登録と中心市街地再開発についてお答えをいたします。
 はじめに、富岡市としては旧官営富岡製糸場が世界遺産に登録される可能性について、どの程度考えているのかとのご質問にお答えをいたします。このたびの旧官営富岡製糸場の世界遺産登録に向けた群馬県の研究プロジェクト発足の発表は、富岡市にとりまして大いに歓迎すべきことであり、また、大変有り難いことと受け止めております。今後、片倉工業の意向を尊重しつつ、できる限りの協力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 さて、茂原議員さんご指摘のように、ユネスコの世界遺産につきましては、現在、我が国では11件が登録をされており、そのすべてが世界に誇れるすばらしい文化遺産でございます。また、暫定リストに登載されている5件の遺産も、我が国を代表する文化財であると考えております。このような中での富岡製糸場の意義付けでございますが、既にご承知のように、富岡製糸場は、明治5年明治政府が国費で建設した日本で最初の洋式機械と生産システムを導入した官営製糸工場でございます。明治5年といえば、まだ日本がほとんど江戸時代の風俗や生活様式を留めていた時代でございまして、このことを思えば、130有余年の長きにわたり、ほぼ建設当時のまま今に息づいている富岡製糸場は、正に我が国を代表する文化遺産であると確信をしております。近代産業史においては建物だけではなく、日本の近代化、工業化とアジア圏の近代産業の原点がこの富岡製糸場であると位置付けられており、次世代に継承すべき人類の貴重な財産と受け止めております。
 過日、富岡市を訪れました我が国の近代遺産研究の第一人者である国立科学博物館の清水慶一博士は、130年前に建てられた工場がそのまま残っているのは極めて珍しく、世界的にもないのでなないかと述べられております。さらに、世界遺産はカテゴリーを重視しているところがある。その中に近代産業遺産も当然入ってくると思われるが、日本ではこれを埋めるものがなく、富岡製糸場はそれを埋めるのに重要なものであり、世界遺産にふさわしいのは間違いないと高く評価しております。ユネスコの世界遺産登録までには、幾つものハードルがあろうかと思います。また、県の研究プロジェクトの研究結果をふまえなければ分からないところもございますが、世界遺産に登録される可能性は十分にあるのではないかと考えております。富岡市地域の新たな発展の大きなインパクトとなり得るものでありますので、茂原議員さんを始め、議員の皆様方にも絶大なるご支援、ご協力を切にお願いする次第でございます。
 次に、世界遺産に登録されなかった場合、過剰投資となる危険性もあるのではないか、今後どのような方法でまちづくりに関連させていく考えなのかということにつきまして、お答えをいたします。富岡中央土地区画整理事業の意義といたしましては、西毛地域の中核都市としての役割が果たせる求心性のある中心市街地の形成を図ることが第一義でございます。そのために大切なことは、都市の顔づくり、居住人口の確保、にぎわいの創出、魅力ある商業空間の形成、少子高齢化への対応など、多様な観点に立ってまちづくりを考えていくことが肝要であると考えております。また、まちづくりを進めるうえでは、地域の持つ固有の資源を有効に活用することが大切でございます。地域の個性をアピールし他の地域との優位性を図るために、それぞれの地域で固有の資源を生かしたまちづくりの取組が行われております。幸い、富岡市には富岡製糸場という全国に誇れる歴史的文化遺産がございます。本市のまちづくりに富岡製糸場は欠かせない存在であり、その活用が市民共通の願いであることは論をまたないと思っております。富岡中央土地区画整理事業を推進するうえでも、富岡製糸場を視野に入れながら、この歴史的遺産をコンセプトにしたまちづくりを進めることが、富岡市の顔づくり、魅力づくりとなることと考えております。
 したがいまして、世界遺産にふさわしいまちづくりを目標に掲げてまちづくりを進めることは、地域の持つ固有の資源を有効に活用したまちづくりの推進でもございまして、従来からのまちづくりの考え方と基本的には変わりはないと考えております。しかしながら、世界遺産登録が実現すれば、富岡製糸場の価値が全国に誇れる歴史的文化遺産から世界規模で認められることになるわけでございます。世界レベルの歴史的文化遺産が所在する地域といたしましては、議員さんのご質問にもありましたように、観光資源としての側面はもちろんのこと、富岡市の知名度の大幅アップや大きな経済効果も期待できますので、富岡市といたしましても大きな期待を抱いているところでございます。世界遺産登録に向けた富岡市としての取組につきましても、今後、関係機関からの情報収集はもちろん、十分に調査研究を重ねながら検討していくことが大切であると考えております。
 現時点での取組の1つといたしましては、本年度作成を計画している街づくりイメージプランの中で、地域の持つ固有の資源を有効に活用するという観点から、地域内に所在する歴史的建造物の保全、活用なども検討することになると思いますが、富岡製糸場が世界遺産となることを想定したプランについても検討する必要があると思っております。さらに、世界遺産登録の方向性が具現化した段階におきまして、世界遺産の指定対象地域の周辺に緩衝地帯として、景観形成や街並み保存などの利用制限区域を設けることを目的とした市条例を制定し、周辺整備を図っていく必要があると考えておるところでございます。また、仮に世界遺産登録がされなかった場合であっても、富岡製糸場の歴史的文化遺産としての価値は不変でございます。富岡市のシンボルといたしまして、将来の地域形成に大きな役割を果たすことは確実でございます。県の世界遺産登録に向けた研究プロジェクトが発足したことは、富岡製糸場の価値を再認識する機会にもなり、大変意義のあることであると考えております。富岡中央土地区画整理事業を進めるうえでもまちづくりの目標がより明確になりましたので、将来構想をしっかり議論したうえで、禍根を残すことのない事業計画として進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上、壇上からの答弁とさせていただきます。
○議長(齋藤昌平君) 教育長。
○教育長(岩井榮壽君) 命によりまして、6番 茂原議員さんのご質問のお答えいたします。 児童の健全育成のためにも、また、子供の安全、親の安心という観点からも、学童保育は学校施設で行うことが最良の方法と思うがどうかというご質問でございます。議員さんご指摘のとおり、学童保育を学校施設で行うことが、子供たちの安全を考えたときには最良であろうと思っております。過去において、何回かこの件に関してご質問をいただいておりますが、現在市内9校の小学校の現状は、6月議会での答弁のとおりでございます。しかしながら、様々な社会情勢の変化の一つとして、日本社会において核家族化が進み、さらに、昼間保護者が自宅にいない共働き家庭等が増加するのに伴い、放課後の子供たちが安全に生活する場としての学童保育施設の開設が、強く求められていることも事実でございます。
 6月議会以降、関係部局との協議や他地域の実情や実態を把握する中で検討を重ねてまいりました結果、学校教育を進めるに当たり、一人ひとりの子供に合ったきめ細かい指導を進める中で、支障をきたさない範囲で余裕教室等のやりくりをし、場所の提供を探ること。2つ目に、現在使用している教室の代替施設として、プレハブ等の設置を考え、提供を探ること。3つ目として、校庭等の学校施設内での別棟建設用地の確保を探ることなどが話し合われてまいりました。いずれにいたしましても、担当部局を中心に、どれだけのニーズが各地区にあり、どのような入所条件で希望しているか等の実態把握を進めていただき、そのニーズに適した設置場所提供への条件整備を進めていく所存でございます。今後、学童保育施設の設置にかかわる諸条件について十分な話し合いを進めていくつもりでおりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。
 以上申し上げまして、答弁といたします。
◎ 会議時間の延長
○議長(齋藤昌平君) お諮りいたします。本日の会議時間は、議事等の都合により、この際、あらかじめ延長したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(齋藤昌平君) 異議なしと認めます。よって、本日の会議は、あらかじめ延長することに決しました。
◎ 続・一般質問
○議長(齋藤昌平君) 6番。
○6番(茂原正秀君) それでは、再質問させていただきます。
 まず、学校施設内での学童保育の早急な実施についてですが、まずは、市長からのお答えを整理しますと、1つ目は国も急速に進行する少子化対策の1つとして学童保育に力を入れていること、さらに2つ目には、先の市長選において学童保育を学校施設内につくることを公約として掲げ、余裕教室を学童保育施設として積極的に活用することが望ましいと現在はお考えになられていること、そして、3つ目ですが、学童保育を求める多くの市民、保護者の皆さんのお声は十分に承知しているというお話でした。学校施設内での学童保育についての大変前向きで明快な内容に、心強い思いがいたします。もう、ここまでこのような公式の場でお話をしていただいたわけですから、実現するか否かは、富岡市行政の最高責任者であります市長の政治家としての手腕と行動力にかかっているかと思われます。多数の市民の皆さんが、この件への市長の取組について大きな関心を持っておられることをお忘れにならず、是非とも1日も早い実現を強く、強く要望いたします。
 また、教育長からは、6月議会の時と比較しますと、十歩も百歩も前進したご回答をいただきありがとうございました。教育長も子供たちの安全を考えれば、学童保育は学校施設で行うことが最良とのご認識をされていることを大変うれしく思っております。ご回答を確認する意味で、1点だけお伺いしたいと思いますが、今のお話では、例えば、ある小学校で保護者の方々から学校施設内での学童保育を望む声が多数出たとしましたならば、これまでは空き教室は一切ないとしてきた学校側も、学校教育に支障をきたさない範囲で、余裕教室のやりくりを積極的に行っていただけるという方針に変わったと解釈してよろしいのでしょうか。この件につきましては、以上、再質問させていただきます。
 続きまして、旧官営富岡製糸場の世界遺産登録と中心市街地再開発についてでございますが、詳しいご答弁ありがとうございました。まず1つ目の質問では、専門家の方からも世界遺産にふさわしいとの評価をいただいたから、富岡市としても世界遺産に登録される可能性は十分にあると考えているとのご回答をいただきました。さらに、2つ目の質問では、世界遺産にふさわしいまちづくりを進めることは、これまでのまちづくりの考え方から逸脱するものではないし、今後十分に検討しながら、方向性が具現化した段階で条例の制定や周辺整備を図るなど、禍根を残すことのない事業計画として進めていきたいというお答えをいただきました。
 ただ、お話を伺っていますと内容は十分に理解できますが、最も重要なポイントに触れられておりません。それは、旧官営富岡製糸場は世界遺産になれる可能性がたとえ高く、これを活用したまちづくりは富岡市に欠かせないといくら言っても、肝心の製糸場は、現在一民間企業である片倉工業さんの所有物であることでございます。私は、片倉工業さんと直接お話させていただいたことはございませんので、片倉工業さんがこの世界遺産という話について、どのようにお考えになっているか分かりません。でも、一般的な見方では、世界遺産の候補として国が推薦できる最低条件の重要文化財の指定でさえも、片倉工業さんは現在拒んでおられると思います。なのに、所有者である片倉工業さんのお考えやお気持ちを、無視すると言ったら言い過ぎかも知れませんけれど、無視するような状態で、市や県が自分の都合のよいように話を進めていったとして、果たして世界遺産の登録が実現するものなのでしょうか。片倉工業さんが旧官営富岡製糸場の重要文化財の指定を受けられ、さらにこの世界遺産登録についてご理解していただくことが、この件での最も重要なポイントであるにもかかわらず、ただ単に、世界遺産になれば世界中からたくさんの人が見に来ますから、それにふさわしいまちづくりをしましょうということでプロジェクトを進め、実際に何十億円、何百億円ものお金をもし投入し、まちづくりをしたとしても、その時点で重要文化財の指定さえ受けていないという状況ということになれば、正に、世界遺産バブルに浮かれた富岡市という汚点を次世代に残しかねないのではないでしょうか。
 開発型の公共投資というものはいろいろございますけど、どうしても行政側の甘い見通しとか、過大な需要の予測が起こりがちでございます。例は違いますけれど、瀬戸大橋、アクアライン、ワールドカップでの豪華なスタジアム、長野オリンピックの施設など、後になって冷静な目で振り返れば、バブルに浮かれ、莫大な借金を後世に残したという厳しい見方もできるかと思います。こうしたケースと同じたぐいの世界遺産バブルを富岡市では絶対に起こしてはならないと、私は考えております。現在の状況を客観的に見ますと、世界遺産のメリットばかりが先行しておりますが、現状はそんなに甘い話ではなく、極端なことを言えば、県や富岡市が幾らプランを練って、大金を投じ、世界遺産にふさわしいまちづくりを行ったとしても、片倉工業さんの重要文化財の指定はお断りしますという一言で、すべてが泡と化す、投資と言うよりは極めて投機的な意味合いもある話と今回のこの件は感じております。
 以上、申し上げました内容をふまえたうえで、再質問させていただきます。第1質問のお答えでは、世界遺産になれる可能性が高いと富岡市ではお考えになっておられるようですが、片倉工業さんからは重要文化財の指定を受けていただける話や、世界遺産に対してのご理解をいただき、積極的に協力してもらえるようなお返事をいただいているのでしょうか。
 以上ですが、よろしくお願いいたします。
○議長(齋藤昌平君) 市長。
○市長(今井清二郎君) 第2質問にお答えをさせていただきます。
 まず、学童保育についてでございますが、ご要望をいただきました件については、是非実現に向けて頑張りたいと思います。お尋ねの項目につきましては、教育長から答弁をさせていただきます。
 次に、ユネスコ世界遺産と片倉工業の関係についてお答えをいたします。茂原議員さんは世界遺産登録に浮かれて、富岡市が過大な投資をすると心配されているようでありますが、私の一次答弁の中にそのようなことに類する、触れていることがどこかありましたでしょうか。現在時点では、茂原議員さんがご指摘されますように所有者であります片倉工業さんはこの県のプロジェクトには参加しておりません。研究成果を見せてもらってから判断をしたいという姿勢でございます。この計画はもちろん所有者である片倉工業さんのご理解なしには一歩も進まないものであることは、私どももあるいは県も十分承知しております。先日も9月16日のことでございますが、市長就任のあいさつに清田会長さん、岩本社長さん、清水常務さんを本社にお訪ねして懇談をしてまいりましたが、その場でも積極的に協力してもらえるようなお返事はいただいておりません。
 しかし、私どもが8年間お付き合いをさせていただいて、片倉工業さんが一貫して申し述べていることは、1つは、国の創建した歴史遺産を片倉工業の責任において保存管理をしている、2つ目は、世界にも誇れる価値があることを十分承知している、3つ目は、壊したり、安易な処分をすることはない、4つ目は、富岡市とは友好的な関係で情報交換を続けており、これは是非とも継続して欲しいというようなことを時々申しております。私は結論として、いつどのような形で、片倉工業富岡工場が現在の保存管理状態から施設開放に向かうのか分かりませんけれども、今の状態のままで、10年あるいは20年も放置されることはない、そのように確信をいたしております。片倉さんの話の中にも、私がそのように感じられることが度々出てきております。
 西洋のことわざに「チャンスの神には前髪しかない」というものがあるそうでございます。チャンスというのは、やってくるときには本当にそれがチャンスの神なのかということが分からないものでございます。過ぎてしまってから、あの時、と悔やんでも遅いという戒めのことわざだと教えていただきました。ユネスコ世界遺産の話は、正に、富岡市に大きなチャンスが巡ってきたと考えられないでしょうか。片倉工業さんも納得のいく状況が出れば、積極的な協力をしてくれるはずだと私は堅く信じております。ちなみに、片倉さんが国の重要文化財指定を拒んでいる理由は、重要文化財指定が悪いと考えているのではなく、重要文化財指定後の展望が見えていないからだと私は思っております。したがって、状況さえ変われば、必ず片倉さんの考え方も変化していくものだと考えております。そのために、所在地であり、最も将来的にも恩恵を受け続けることのできる富岡市が、努力していくことが必要だと私は思っております。どうか、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 以上で、私からのお答えにさせていただきます。
○議長(齋藤昌平君) 教育長。
○教育長(岩井榮壽) 茂原議員さんの再質問にお答えいたします。
 お話にもありましたように、学校教育に支障のない範囲内において、学校敷地内においての学童保育が行えるよう積極的に進めてまいる所存でございます。
○議長(齋藤昌平君) 6番。
○6番(茂原正秀君) それでは、世界遺産関連ですけど、市長の率直なお考えを聞かせていただきましてありがとうございます。私の認識不足もあった点の質問については、大変失礼しました。どうぞご理解ください。
 続きまして、学童保育についてです。学童保育の件では、やっと今の教育長の答弁を聞きまして、ほかの自治体並のことができるところまできたという喜びを感じております。ニーズの大きさを理解していただき、方針を大きく前向きに変えて下さった教育委員会及び学校関係者の皆さんには、心より感謝申し上げます。そこで、実現に向けての今後の具体的な流れについてですが、これは保健福祉部にちょっとお伺いしたいのですけれど、学校施設での学童保育を始めるには、まずそれぞれの地区のニーズの大きさを正確に把握する必要があるかと思われます。その第1歩としまして、市内全小学校の保護者の皆さんにアンケートのようなものをお配りし、その結果をベースにして今後の展開を考えていくのも1つの方法かと私は考えておりますが、保健福祉部としましては、このようなアンケート調査についてどうお考えでしょうか。また、もしも何らかの別の方法を考えているようでしたらお聞かせ下さい。
 以上、再々質問させていただきます。
○議長(齋藤昌平君) 市長。
○市長(今井清二郎君) 保健福祉部長からお答えします。
○議長(齋藤昌平君) 保健福祉部長。
○保健福祉部長(上原勝司君) 命によりまして、再々質問にお答えいたします。
 まず、アンケート調査についてのご質問でございます。担当といたしましては、今までの学童保育の実態や相談状況をふまえましての判断はもちろんでございますが、茂原議員さんのご提言のとおり、実態把握をする必要がございますので、アンケート調査の実施に向けて、現在検討中でございます。よろしくご理解のほどお願いいたします。
 次に、何らかの別の方法についてとのご質問でございますが、民生児童委員や主任児童委員にも児童の健全育成に向けての更なるご協力をいただき、地区ごとに実態把握に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。いずれにいたしましても、重要な子育て支援策の一環としてとらえ、その対応をしてまいりたいと思いますので、ご理解のほどお願い申し上げまして、再々質問に対する答弁とさせていただきます。