午後1時00分再開
○議長(齋藤昌平君) 再開いたします。

◎ 続・一般質問
○議長(齋藤昌平君) 午前中に引き続き、一般質問を行います。6番議員 茂原正秀君、ご登壇、ご質問願います。6番。
(6番 茂原正秀君登壇)
○6番(茂原正秀君) 議長のお許しをいただきましたので、通告してあります3件について質問いたします。
 まず、携帯電話からアクセス可能な防災行政用無線についてでございます。
 現在、富岡市では、市内の143か所に設置されているスピーカーから防災行政用無線が放送されております。この放送は、ある時は時報として、またある時は火災や行方不明者などの緊急情報を市民に伝える手段として、長い間、市民生活の中で使われております。また、最近では車上荒らしや空き巣などの犯罪情報を伝える手だてとしまして、ますます重要性が増してきたかと思われます。ところが、この無線放送は、市内全域に向けて行われてはおりますが、実際のところ聞こえない地域も少なくありません。一例を挙げれば、私が住んでおります一ノ宮地区では、この放送が始まっても、何か言っていることは認識できますが、何を言っているのかは非常に分かりずらい状況が続いております。これは、スピーカーの向きや地理的な条件による音の反響がその原因と考えられますが、一ノ宮地区のように聞き取りづらい地区はきっと他にもあるでしょうし、また、音が小さすぎて聞こえない地区もあるかと推測されます。このように、緊急情報の伝達に支障があるということは、大きな天災や突発的な大事故などで市民生活が危機に直面したとき対応が遅れるなど、様々な問題が生じる可能性が高いと危ぐされます。
 そこで、この対策としてご提案したいことがございます。それは、携帯電話からアクセスし、防災行政用無線の内容を文字情報として受け取れるようなシステムを導入することでございます。具体的に申し上げますと、現在、インターネットに接続可能な携帯電話は、かなりの高率で普及していると考えられます。仮に、行政で緊急用のホームページを設定し、火災などが発生したとき、どこどこ地区で建物火災発生という文字データをそのホームページに掲載すれば、後はそのアドレスにアクセスするだけで携帯電話の画面で読むことが可能です。この方法は、たぶんまだ全国のどこの自治体でも実行していないアイデアかと思われますが、数多くのメリットがございます。まず1つ目は、費用が掛からず、技術的に優しいことです。少しの工夫でマニュアルを作成すれば、即実行が可能と思われます。そして、2つ目に、音声で流した情報は、その時聞き逃せばキャッチできませんが、文字情報ならば都合のいい時に手に入れ、読むことができます。例えば、行方不明者や犯罪情報などの長い放送は、たとえ聞こえる所にいたとしても、ずっと耳をたてて聞いていられるという人は少ないでしょう。でも、文字情報ならば一度アクセスするだけで、自分の都合ですべてを確認することができます。個人的には、この方法は近い将来、緊急情報の伝達方法としてスタンダードになるのではないかと強く思っております。以上の説明をさせていただきました点を踏まえて、この件に関して2点、当局に質問いたします。
 まず、1つ目は、現在行われている防災行政用無線の問題点を解決する方法として、この携帯電話のネット接続機能を使うというアイデアを当局はどのようにお考えでしょうか。また、2つ目に、もしも行政がこの方法を導入するとした場合、実行するまでに障害となるのはどのような点でしょうか。まず、この件につきましては以上でございます。
 続きまして、工場誘致活動の現状と今後の展望についてお伺いいたします。
 終わりが見えない長期不況とデフレ経済の進行に歯止めが掛からない現在、少しでも低いコストで生産をするため多くの製造業が国内工場を閉鎖し、中国や東南アジアの国々に工場を移転しております。この製造業の国内空洞化の流れは、富岡市でも大きな問題となっております。具体例を挙げますと、市民生活の面では、工場の撤退や規模の縮小により雇用の激減、さらには収入減など多数の市民に悪い影響が出ております。また、行政にとっても税収や水道料金収入の大幅な落ち込みなど、財政状況は厳しくなる一方であります。正に、市民にとっても行政にとっても極めて深刻な状況にあると言えましょう。しかしながら、だからと言って、現状に甘んじ何ら対策も取らず、ただ景気の回復を待つという姿勢が許されるわけではありません。多くの自治体が同様にこの問題を抱えており、新規の工場誘致どころか、いかにして今ある工場に操業を続けてもらうかで精一杯なのが現実でしょうが、中には独自の方法と工夫により、工場の進出ラッシュにわいているという自治体もあるからです。
 その工場誘致活動に大きな成果を上げておりますのは、三重県の亀山市という人口規模が4万人に満たない鈴鹿山ろくの自治体でございます。この富岡市よりも人口が少ない小都市では、現在、大手電気メーカーであるシャープの世界最大級となる液晶テレビ工場の建設が行われております。また、これを呼び水に、液晶関連の大手メーカーとして凸版印刷や日東電工などの工場の建設も始まり、地元では大きな経済効果に期待を寄せているとのことです。この三重県の小都市で、なぜこれほどの工場誘致に成功したのかと申しますと、最先端分野の産業を誘致し、更にその産業の一大集積地として競争力のある地域を築き上げようとする前三重県知事の戦略に、亀山市がうまく加わったからと聞いております。具体的には、シャープ誘致の際には、県が90億円の補助金を支出しましたが、亀山市も45億円の補助金を出すなど、地方自治体としては例のないような取組を行ったそうでございます。
 このように、富岡市よりも小さく、しかも地理的にも恵まれていない自治体でも、やり方によっては大きな成果を上げておりますが、これを踏まえたうえで、2点質問いたします。
 まず1点目は、新たな雇用の創出が期待されておりました稲葉製作所の富岡進出の話が現在止まってしまっているようですが、この稲葉製作所以外に富岡市に進出する可能性のある企業の話しは現在あるのでしょうか。また、これまで工場や企業を誘致するためにどのような活動をなさってきたのでしょうか。
 そして2点目は、先の亀山市では県の力を上手に利用して、自らの地元に将来性のある分野の工場を誘致しましたが、富岡市でも21世紀に発展する可能性が高いと思われる分野に特化した工場、企業誘致活動を展開しようという戦略的な方針を、当局はお持ちなのでしょうか。以上、この件につきましての質問といたします。
 そして、最後は、学童保育の現状と今後の展望についてお伺いいたします。
 1997年6月に児童福祉法等の一部改正に関する法律が成立し、学童保育が初めて法制化されたことにより、1998年4月から学童保育は児童福祉事業法に位置付く事業となりました。それとともに、共働き家庭や一人親家庭の増加という社会的な背景もあり、学童保育は、働く親にとって仕事と子育ての両立に欠かせない存在となってまいりました。このような法律による後押しと社会的なニーズの拡大に対応するため、多くの自治体では学童保育事業に力を入れ、その結果、2002年の学童保育数調査の報告では、現在、全国2,147市区町村に、1万2,825か所の施設が設置されるに至りました。このように、少子化対策、子育て支援という観点からも、学童保育の充実のために多くの自治体が現在、力を注いでおります。
 しかしながら、我が富岡市に目を向けますとどうでしょう。残念ながら、全国的な流れからは完全に置き去りにされてしまった印象がぬぐえません。具体例を挙げてみますと、全国の学童保育施設のおよそ半分は自治体が運営しております。でも、富岡市の場合は、現在ある6つの施設のうち市の運営はわずか1つです。またさらに、全国の学童保育施設の42%は小学校の敷地内に専用施設を設けるか、空き教室を利用しておりますが、富岡市の場合は何と0%、一つも小学校にはございません。この点につきまして、近隣の自治体に問い合わせをして調べましたところ、高崎市では、市内の32小学校中19校に学童保育施設があるとのご回答でした。同様に前橋市は、39小学校中7校で、さらに、桐生市では、15小学校中現在は11校ですが、近い将来全校に施設を設ける予定との大変熱のこもったご回答をいただき、驚きました。以上の点をご理解いただきましたうえで、この件について2点ほど質問いたします。
 まず1つ目は、富岡市の現在の学童保育事業は、全国レベルからでなく、近隣自治体からも大きく差を付けられているように感じられますが、この現状について当局はどのような認識を持っておられるのでしょうか。
 そして2つ目は、交通事故などの心配もない小学校内での学童保育へのニーズは大きく、今では全国の学童保育の4割以上が小学校で実施されておりますが、小学校内での実施が全くない富岡市の学童保育を、今後どのような展望を持って当局は進めていくおつもりなのでしょうか。
 以上、壇上からの質問とさせていただきます。ご答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(齋藤昌平君) 市長。
(市長 今井清二郎君登壇)
○市長(今井清二郎君) 6番 茂原議員さんのご質問に順を追ってお答えをいたします。
 最初に、携帯電話からアクセス可能な防災行政用無線についてのご質問にお答えをいたします。
 富岡市防災行政用無線施設の固定系、いわゆる一斉放送設備につきましては、地方行政無線局及び消防用一斉指令放送設備の代わりとして、平成5年度から平成6年度にかけて、市役所本庁舎内の放送設備と、富岡甘楽広域消防本部内の遠隔制御設備及び141か所の拡声子局と、本庁舎放送設備の付属設備として庁舎屋上の屋外拡声受信装置1か所を整備し、平成7年1月から運用を開始したものでございます。その後、平成11年度に新たに住宅が建設されたことに伴い、発生した難聴地区に1か所の屋外拡声子局を増設し、現在142か所の屋外拡声子局と1か所の屋外拡声受信装置の計143か所が稼動しております。
 防災行政用無線につきましては、富岡市地域防災計画に基づく災害対策に係る事務及び行政事務に関し、円滑な通信の確保を図ることを目的に設置したものでございます。この防災行政用無線の運用方法につきましては、緊急通信として、台風等の災害情報や火災報知、行方不明のお知らせなどの放送を行っております。また、一般通信といたしましては、5月21日から開始した犯罪発生状況についてのお知らせや、毎日夜9時の火災・戸締まりの注意を促す放送等を行っております。また、時報通信といたしましては、設備が常に正常に機能しているかどうかの点検を兼ねて、正午に時報、夕方6時、冬期については5時に童謡チャイムの放送を行っております。
 さて、茂原議員さんのご指摘のように、地形の問題等により音が共鳴しあう場所や、車等の騒音あるいは大きな建物の影になってしまうことにより、聞きずらい場所等が点在しているのが実情でございます。市では、ご指摘をいただきましたような場合につきましては、現地調査を行い、スピーカーの方向を変える等、個々に対応いたしております。また、スピーカーの方向調整だけでは対応できない場所につきましては、スピーカーの増設のほか、拡声子局の増設や設置場所の移設を行い、難聴地区の解消に努め、緊急情報の伝達に支障を来さぬよう努力をいたしているところでございます。また、最近の建物は、建築技術の向上などにより機密性が増し、屋内では聞きづらい住宅が増えていることも、聞こえにくい要因となっております。こうした対策の一環として、火災発生時に防災行政用無線での一斉放送のほか、消防本部で火災情報のテレホンサービスを行っております。しかし、火災の報知以外の情報につきましては、現段階では、防災行政用無線以外の方法がないのが現状でございます。
 そこで、ご質問をいただきましたように、市のホームページに防災情報コーナーを設け、災害発生時にパソコン及びインターネット接続機能付き携帯電話からアクセスすることにより、必要な情報を文字情報として取り込めるようにするシステム及びメールアドレスをあらかじめ登録された方に、ホームページの防災情報を自動的に送信するシステムについてでございますが、誠に時代の進歩を象徴する有意義なご提案であると思います。早速検討を加え、実現に向けて努力してまいりたいと思います。また、もしも行政がこの方法を導入するとした場合、実行するまでに障害になるのはどのようなことがあるのかとのご質問でございますが、特に、現段階では障害となるようなことはないと考えております。
 次に、工場誘致活動の現状と今後の展望についてのご質問にお答えをいたします。
 我が国の経済は、バブル崩壊の後遺症と経済のグローバリゼーションに伴う産業の空洞化によりまして、依然として出口の見えない状況が続いております。昨年の6月議会定例会におきまして、岡野議員さんから製造業の生産拠点海外移転対策についてのご質問の中でお答えをいたしましたように、富岡市の製造業につきましてもデフレ時代のコスト競争に打ち勝つために、コストの低い中国を始めとするアジア諸国へ移転する企業も少なくありません。本年5月に経済産業省が行った調査では、過去2年間に海外進出をした企業と今後1年間に計画している企業をアンケートした結果、移転の目的を「量産体制の構築」とした企業は96%であり、また、製品の80%は国内での生産年数が10年以上経過したものでございました。この調査から分かったことは、競争力のある付加価値の高い製品は国内で生産し、量産品を人件費の安い海外で生産するという経営者の考えでございます。また、現在では、工業団地を整備すれば企業が立地するという時代は終わり、企業にとってはどこに立地すれば成長が続けられるかという最適生産立地の観点で、立地場所が決定される時代へと変化しているようでございます。
 こうした状況下においての工業団地の誘致につきましては、各自治体が苦慮している中で、茂原議員さんのおっしゃるとおり、三重県では北川前知事がクリスタルバレー構想を打ち出しまして、液晶を始めとするフラットパネルディスプレー産業の世界的集積地の形成を目指しております。この発端となったものは、平成7年に三重県の多気町にシャープ三重工場が稼働したことによるものであり、その後、北川知事が、三重県内にもう一つの工場をと、シャープ本社を訪れ自治体首長としてのトップセールスを続けていたものとお聞きいたしております。シャープ第2工場が建設されている亀山市は、三重県の90億円の補助に歩調を合わせる形で、15年間にわたり総額45億円もの補助金を支出することを決定いたしました。このことが一つの契機となり、進出が決定したようでございますが、三重県と亀山市では、今や企業誘致は国内の地方間の競争から国レベルの競争であるとして、海外の優遇措置に劣らない条件を出したものと思います。
 しかしながら、地域の経済振興策の一環として、それも世界的な企業だからといって15年間にわたり1社に年間3億円もの補助金を支出するという亀山市、さらには、三重県の補助金の90億円の算出基礎など、現在でも一部評価の定まっていない状況もあるようでございます。しかし、このように閉そく感のある経済状況の中で思い切った決断をするということは、たたえられるべきであると私は思っております。新しい企業を誘致することは、富岡市の経済基盤を固めるためにも積極的に推進していかなければなりませんが、これまでの経済基盤を支えてまいりました既存の企業との関連もございます。工業界全体への波及効果も計りながら進めていく必要があると思います。
 さて、ご質問の稲葉製作所でございますが、平成12年6月に造成工事が完成し、早くも3年が経過しようとしております。この間、稲葉製作所に度々訪問し、今後の予定を聞いておりますが、低迷する経済情勢、また、先行き不透明感から工場建設を急ぐ時期ではないとして、当面未定であるとの見解を示しておるところでございます。また、現在、富岡市の中では、稲葉製作所以外の具体的な進出計画は残念ながらありません。
 また、これまでの誘致活動の状況を申し上げますと、富岡市の工業誘致につきましては、5期にわたり行ってまいりました。まず、第1期は、昭和37年に産業構造の体質改善を図るべく工業の立地条件の整備を行うため、財団法人富岡市開発協会を設立し、富岡曽木地内に沖電気工業の子会社として富岡沖電気、横浜市より自動車電機工業を誘致いたしました。第2期は、市内の事業所の集団化を図るため、工場集団化事業資金利子補給条例を制定し、昭和45年、宇田地内に10社を誘致いたしました。第3期は、農村地域工業導入促進法の適用を受けまして、昭和51年にサンヨー食品工業を誘致し、第4期は、昭和60年に田園工業都市とみおか開発促進条例を制定いたしまして、田篠地内にヂーゼル機器、現在のボッシュ・オートモーティブシステムが進出、また、平成3年には、坂井地内に県企業局による団地開発によりまして、田中貴金属工業ほか3社が進出いたしました。第5期は、平成5年に農村地域工業導入促進法の適用を受けまして、株式会社ヨコオと東京カリントが神農原地内に進出、また、平成7年には県企業局によって造成されました藤木工業団地に日産自動車の宇宙航空事業部、現在のIHI(エアロスペース)が進出して、現在に至っております。
 次に、2点目の21世紀に発展する可能性が高いと思われる分野に特化した、工場、企業誘致活動を展開しようという戦略的な方針でございますが、冒頭でも申し上げましたように、各企業の経営者は、競争力のある付加価値の高い製品は国内で生産したいと考えていることでございますので、こうした分野でありますとか、また、将来性のある分野を考えてみますと、情報通信関連、環境、医療、健康、福祉分野を含む技術先端型、研究開発型企業、将来性のあるベンチャー企業、外資系企業、あるいは、安定性のある本社工場や製造拠点工場いわゆるマザーファクトリーなどが考えられるところでございます。
 群馬県におきましても、昨年産業集積の創出、産業集積の継続、新産業の創出を柱とする群馬県産業集積基本方針を策定いたしまして、地域の主体性、地域の特性、地域の可能性を生かした、具体的なプロジェクトの推進をしているところでございます。このプロジェクトに対応する富岡市の動きといたしましては、現在、進行しております西毛広域幹線道路沿線の残土処分場を活用し、企業誘致用地としていきたいと考えており、具体的な取組につきましては、西毛広域幹線道路の進ちょく状況に併せ実施してまいりたいと考えているところでございます。また、この企業誘致につきましては、群馬県が東京・大阪で開催しております企業立地説明会に参加してのPRを始め、ホームページや広告媒体を使い積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますので、ご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、3点目の学童保育の現状と今後の展望について、とのご質問にお答えをいたします。
 国では、少子化対策といたしまして、平成13年7月に、認可外保育施設の監督強化や保育士資格の法制化、待機児童ゼロ作戦等の施策を実施し、保育所の受入児童数の増加を重点に取り組んでまいりました。さらに、平成14年9月に発表された少子化対策プラスワンに続いて、現在、国会に提出されている次世代育成支援対策推進法案では、男性を含めた働き方の見直し、多様な働き方の実現等が取り上げられ、企業と働き手の意識改革の必要性が指摘されております。昨今、長引く不況の中で、家庭よりも仕事を優先させる人が多い現実を踏まえ、父親の子育て参画推進のため、育児休業取得率の数値を打ち出しています。特に、育児休業を取らない現実の中で、父親の育児休業取得率を10%に、母親は80%にしようというものでございます。しかし、少子化問題は、単に経済的あるいは仕事との両立を図るためのきめ細かい子育て支援をするだけでは解決しない問題であるだけに、現在の日本の抱えている最も大きな課題であると苦慮いたしているところでございます。
 まず、ご質問の1点目富岡市の現在の学童保育事業は、全国レベルからだけではなく、近隣自治体からも大きく差をつけているように感じられるが、この現状について当局はどのような認識を持っているのか、とのご質問でございます。茂原議員さんご指摘のとおり、学童保育につきましては、平成9年6月に児童福祉法が改正され、児童家庭福祉制度の見直しが行われ、質の高い子育て支援の制度として再構築が図られました。その中で、児童健全育成施策の一つとして新たに法制化されたのが、学童保育、別名、放課後児童健全育成事業であり、平成10年4月1日から施行されております。この背景は、少子化の進行、夫婦共働き家庭の一般化、家庭や地域の子育て機能の低下等、児童を取り巻く環境の変化に伴い、児童を巡る問題の複雑化、多様化に適切に対応するためのものでございます。学童保育の目的につきましては、児童福祉法の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童に対し、授業の終了後に児童厚生施設等を利用して、適切な遊びや生活の場を与えて、その健全な育成の場を図るものであることを基本として制定されております。
 本市の学童保育の現状につきましては、市内の公立保育所並びに市立保育園、合わせて15施設で開設され、現在ではほぼ全域にわたり実施しております。まず、経緯について申し上げますと、昭和61年度に対象児童を抱える保護者の声を反映した形で、民立民営のこぐま学園が開設され、また、平成6年度から平成9年度にかけまして、同じく民立民営による高瀬学園、大空学園、一の宮学園、更に額部学童クラブが次々に開設されました。その後、平成11年4月には、小学校の余裕教室を始め公有施設を活用した学童保育の一層の促進を目的に児童福祉法が改正されました。これを受けまして、教育委員会では学校長に対して余裕教室等実態調査を実施した結果、余裕教室がない実情から、やむを得ず公立保育所が中心となり、私立保育園にも働き掛け温かいご協力をいただく中、公私立保育所、保育園合わせて10施設が一斉に開設し、積極的に取り組んできたことと認識しているところでございます。
 また、設置基準の内容ですが、対象児童5人程度の小規模保育では、公立の東富岡、黒岩、富岡保育所のほか、私立のすみれ、いずみ、丹生、一峰、南蛇井、かしの木の各保育園がそれぞれ実施しております。対象児童10人から19人規模の保育では、公立の中高瀬保育所と私立の高瀬学園学童クラブが実施しております。対象児童20人以上35人規模で、開設日数が281日以上の保育では、私立の大空学園、一の宮学園、こぐま学園、額部学童クラブの4施設が取り組んでおります。
 このような実情を踏まえて、学校施設を利用した学童保育の在り方は、共働き家庭や母子家庭などにより昼間保護者が自宅にいない児童の放課後の生活の場として、健康面や安全管理を始め、学習や生活指導を通し適切な働き掛けや支援が求められております。今後、学童保育を推進する立場から、市内の小学校区ごとに設置されるのが理想的な形態でありますので、更なる充実を図るため、地域の財産である学校を地域に開放して利用できるような体制を早期に構築できるよう、教育委員会部局を始め小学校長会、各小学校単位のPTA代表者と十分協議し、条件が整い次第実施してまいりたいと考えております。
 次に、2点目の交通事故等の心配のない小学校内での学童保育へのニーズは大きく、今では全国の学童保育の4割以上が小学校で実施されているが、小学校内での実施が全くない富岡市の学童保育を今後どのような展望を持って当局は進めていくつもりなのか、とのご質問でございます。国では、子育て支援策として、平成13年11月には児童福祉法の改正により、小学校の余裕教室を始めとした公有施設を活用した学童保育や保育所の設置促進が規定され、県における支援も規定されております。公有施設のうち、特に小学校の余裕教室につきましては、これまで児童福祉分野への活用として、その多くが学童保育の実施場所とされてきたところでありますが、保育所につきましても、学童保育同様通所施設であって、既存ストックの活用が比較的容易であり、また、保育所児童にとっても異年齢の小学生との交流として、豊かな体験の機会となることが期待されております。
 現在、市内には、公私立合わせて14の保育所、保育園がございまして、平成15年6月1日現在の保育所、保育園入所児童数は、定員1,185人のところ1,243人が入所しており、定数を上回っている状況となっております。このことから、先ほど学童保育の状況についてご説明をいたしましたが、保育所、保育園で小規模で行っている場合は余裕保育室がなく、創意工夫しながら学童保育している実態であります。今後においても、ますます学童保育は増える見込みであるため、他の場所での学童保育を検討しなければならないものと苦慮しております。児童の安全、保育内容、財政面を判断すると学校施設が理想的であるわけでございます。
 しかしながら、茂原議員さんご指摘のとおり、本市の現状を見るとき、市内9校の小学校には空き教室はなく、余裕教室の利用については、過去において数回にわたりご質問をいただいております。この余裕教室は、現在少人数授業のための教室、総合的な学習の時間での学習を進めるための教室、パソコン教室や児童会室、資料室等に有効利用されております。さらに、平成14年12月には各小学校に対し余裕教室等の調査をいたしましたところ、別棟を建設するなど、学校施設内利用に関しての管理や出入口、トイレといった施設設備面での課題が解決されるならば、ご質問の趣旨を真しに受け止め、学童保育の必要性について、利用者でありますPTAの保護者を対象とした実態調査を実施するとともに、学校施設において余裕教室のない現状を踏まえ、今後は学校敷地等を含めた利活用についての検討をしてまいりたいと考えております。
 以上、壇上からの答弁といたします。
○議長(齋藤昌平君) 6番。
○6番(茂原正秀君) それでは、再質問させていただきます。
 まず、防災行政用無線についてですが、携帯電話のネットアクセス機能を使った防災無線へのアイデアに対し、深いご理解をいただきましてありがとうございます。また、一歩進んだメールマガジン的な方法にまで言及していただいただけでなく、さらに、そのシステムも早急に構築してまいりたいという、大変具体的かつ積極的なご回答に対し重ねてお礼を申し上げます。
 第1質問の中では触れませんでしたが、もしも緊急情報のホームページにアクセスできるだけでなく、緊急情報を希望する市民全員にメールマガジンのよう形態で一括配信するようなシステムが実現すれば、現在の防災無線が聞き取りづらい地域にいる方だけでなく、更に大きなメリットも予想されます。一例を挙げますと、現在、富岡市には聴覚・平衡機能障害のため身体障害者手帳の交付を受けておられる方が148人いらっしゃいます。そうした方々が、これまで防災無線の放送をどれほど利用されていたかは分かりませんが、耳がご不自由な方には放送から情報を得るということはかなり難しかったかと思われます。しかし、この文字情報として携帯電話で見ることが可能なシステムが導入されれば、そうした方々にとって大変役に立つものになることは間違いないと私は確信しております。また、火災のときに緊急出動していただき、大変な活躍をされております消防団は、現在第1から第10分団までございますが、その団員の皆様にも正確な情報を迅速に送ることができれば、今以上、効率的に市民のためご活躍していただけるかとも思われます。以上の説明をご理解いただいたうえで再質問いたします。
 近年、バリアフリーという言葉がよく使われておりますが、これまでは、高齢者や障害者の方々が困らないように、例えば道路の段差をなくすとか、建築物を改修するなどハード面の対策に重心が置かれてきました。でも、これからは、ソフト面でのバリアフリーというものがもっと注目される時代になってくると考えられます。そのような観点からも、聴覚に障害をお持ちの皆さんのより便利で安全、快適な暮らしを実現するために、この携帯電話を使う方法は、実施する価値は十分にあると私は思いますが、当局は、ソフト面でのバリアフリーという観点からはこの方法をどのようにお考えでしょうか。
 続きまして、工場誘致の件の質問についてですが、三重県のクリスタルバレー構想やこれまでの5期にわたる富岡市の工場誘致活動など、大変分かりやすいご説明をありがとうございました。亀山市での誘致活動をそのまま富岡でも行う困難な事情は、十分理解いたしました。また、今後、県のプロジェクトを利用して工場誘致ができるような機会がございましたら、積極的に進めていただくことを要望いたします。
 そして、最後に、学童保育についての第2質問ですが、まずは、学童保育の現状のご説明ありがとうございます。ただ、第1質問に対してのご回答をお聞きした率直な気持ちを述べさせていただきますと、現在、開設されているのが15施設と聞き、数の面では充実している印象が持てました。しかし、その中身に目を向けますと、対象児童が5人程度の小規模保育として行っている保育所、保育園が、15のうちの9施設という現状では、当局のご努力も理解はできますものの、全国の学童保育施設の半分は自治体が運営していることから考えれば、富岡市の取り組み方は遅れていると思えてなりません。実際に、このように経済環境が厳しい時代ですから、遠くの学童保育施設まで子供を預けてでも、働かなければならないお母さん方もたくさんおられます。富岡市は現在、マタニティー・スクールやペア・スクールなどに力を入れておりますが、どうしてもっと肝心なこの問題に真正面から取り組んでくださらないのか、残念な気持ちがしてなりません。
 また、2点目の小学校内での学童保育についても、回答を整理しますと、富岡市の小学校には余裕教室がないから学校での学童保育はできないという趣旨でしたが、私が調べましたデータでは、全国の学童保育施設の25%、4校に1校は、現在小学校の余裕教室、空き教室を使っております。仮に、この割合を富岡市に当てはめてみますと、9つの小学校のうち2校や3校で実施していてもおかしくないのに、1つも実施されておりません。富岡市は、全国の少子化の傾向とは逆に、子供の数が増えているわけでもございません。また、以前から、富岡市の小学校の建物だけが特別小さかったということもございません。なのに、他の自治体ではどんどん余裕教室を使った学童保育が実施されているのに、どうして富岡の小学校には余裕教室が全くなく、1つも実施できないのでしょうか。極めて不自然な話しと思います。このような説明では、とても市民の皆さんは納得してはくださらないでしょう。
 もしも、学校内での1教室を学童保育に開放し、地域のお年寄りにも保育の支援をしてもらえるような運営にすれば、核家族化でお年寄りと接する機会のない子供たちに、人間的な触れ合いを体験させられる場にもなるなど、大きな教育効果も考えられます。また、同様に、お年寄りにとっても地域社会との接点がつくれ、大きな生きがいにつながるかと思われます。このようなメリットを考えれば、現在、総合的な学習や児童会室、更には資料室など、常時使うわけではない教室を幾つか統合し、余裕教室をつくり出してでも、学童保育を小学校で行う価値は十分にあると私は強く感じております。以上の点をご理解していただいたうえで再質問いたします。
 まず1つ目は、地域のお年寄りの方々に学童保育の支援をしていただく場合、考えられる具体的な運営はどのような内容になるでしょうか。また、余裕教室を学童保育施設として利用するには、改修などの費用も掛かると思いますが、それに対する国や県からの補助などはあるのでしょうか。
 そして、2つ目は学校施設の関係ですので、教育長にお伺いいたします。全国の自治体で余裕教室を利用した学童保育がこれほど進んでいる背景には、この重要性を認識したうえで余裕教室を努力して工面しているケースもかなりあるかと想像されますが、富岡市では、余裕教室をつくり出す工夫をしてでも、学校での学童保育をやっていこうというお考えはないのでしょうか。
 以上、よろしくお願いします。
○議長(齋藤昌平君) 市長。
○市長(今井清二郎君) 茂原議員さんから再質問をいただきましたので、お答えをさせていただきます。
 茂原議員さんには従前から情報技術の活用に造けいが大変深く、種々の有益なご提案をいただいております。このたびの携帯電話を利用した防災情報の提供も、大変価値のある有益なアイデアであると思っております。再質問では、身体障害者への対応策あるいは消防団員に対する緊急情報の伝達などのご提案もいただきました。この件に関しての具体的なお答えにつきましては、総務部長より申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。
 また、学童保育に関して、第1質問からさらに第2質問と、大変問題意識の高いお話しをお聞きいたしまして、私どもも気を引き締めてやっていかなければならないと感じております。特に、地域のお年寄りの方々に支援をしていただくことの有意義性、また、教室改修に対する予算措置などについてのご質問もございました。この件につきましては、保健福祉部長からご答弁を申し上げますので、よろしくお願いします。また、学校施設の利用につきましては、教育長をご指名でございますので、教育長からお答えをさせていただきます。
 以上で、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(齋藤昌平君) 総務部長。
○総務部長(金庭武男君) 命によりまして、茂原議員さんの第2質問にお答えをさせていただきます。
 まず、防災行政用無線関係でございますが、防災行政用無線は音声での放送でございますので、聴覚に障害を持っておられる方には災害時などの緊急放送などの情報を知らせる手段がなく、大きな課題となっておりますことはご案内のとおりでございます。しかし、茂原議員さんご提案の、メールマガジンを利用し文字情報として携帯電話に送信すれば、聴覚に障害を持っておられる方にも防災行政用無線でお知らせする緊急放送など、重要な情報を市民等しく提供できるということになります。実施に向けまして検討をしたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
 また、災害発生時の消防団員への連絡方法にメールマガジンを利用する方法は、消防団員等が早期出動を図るために最も必要とする情報を、同時に迅速かつ正確に提供できることと思います。この件につきましても、実施に向けまして検討をしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。私からは、以上でございます。
○議長(齋藤昌平君) 保健福祉部長。
○保健福祉部長(上原勝司君) 命によりまして、学童保育についての再質問にお答えいたします。
 1点目の、学童保育の支援をする場合の具体的な運営内容と余裕教室を学童保育施設として利用する場合の国、県の補助についてのご質問でございますが、厚生労働省は、今年度からシルバー人材センターを活用し、退職した高齢者による子育て支援策に本格的に乗り出しました。これは、共働き世帯や核家族の増加から、親の目がなかなか子供に届かなかったり、子供と高齢者の触れ合う機会が減少したりするのを懸念する声が高まっているため、元教師や保育士等が子供の学習を見たり、昔からの伝統的に継続された遊びなどの面倒を見るもので、高齢者と子供の触れ合いの機会を設けて、子供が人間性豊かに健全育成するとともに、高齢者にも生きがいと就業拡大を見込むものでございます。
 この具体的な手法として期待されるのが、シルバー人材センターが人材の確保のうえ学童保育を受託して、学校施設を利用して実施するのが望ましい姿であると思います。先ほど市長からの答弁にもございましたように、学校施設利用について、教育委員会を始め学校長等と実現化に向けて検討をしてまいりたいと思いますので、ご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
 次に、学校の余裕教室を保育の場として転用する場合には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、補助金の返還等により大臣承認が必要となるところを、報告事項への簡素化や補助金返還が不要な範囲を明確化するなどの措置を文部科学省が平成9年度から実施しております。さらに、社会福祉施設等施設(設備)整備における余裕教室活用促進事業により、施設、設備整備費が国費それぞれ3,000万円、650万円の定額補助制度がございます。この場合、地方公共団体の負担はないものでございます。このように、手続、財政の両面で施策が講じられております。このため、茂原議員さんのご指摘のとおり、全国的にも県内においても、学校施設を利用した学童保育等が行われているのが実態でございます。
 以上、再質問の答弁とさせていただきます。
○議長(齋藤昌平君) 教育長。
○教育長(岩井榮壽君) 命によりまして、茂原議員さんの再質問についてお答えをいたします。
 富岡市では、余裕教室をつくり出す工夫をしてでも、学校での学童保育をやっていこうとする考えはないのかとのご質問でございますが、学童保育の問題につきましては、今後、避けて通れない現代課題として受け止めておるところでございます。今後、保健福祉部、学校、教育委員会等関係者による会議を持ちまして、管理運営面あるいは設置するその敷地等の実態調査、更にはまた先進地等を視察する中で、どうしたら可能になるか、行動できるような方向で検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(齋藤昌平君) 6番。
○6番(茂原正秀君) ご回答ありがとうございました。
 まず、携帯電話を使った防災行政用無線は、是非ともこのシステムを日本で最初に導入して、富岡市の先進性を全国にアピールしていただきたいと思います。スピーディーな実施を要望させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
 また、学校での学童保育についてでございますが、これまでは教育と福祉の狭間にある、正に縦割り行政の弊害がみられた問題ですが、教育長からも、避けて通れない課題とのご認識をいただき、大変明るい展望が開けてまいりました。実現までには、まだ細かい点で煮詰めなければならないこともあるかと思われますが、子供を育てるなら富岡がいいと言われるような魅力的な街をつくるためにも、迅速な対応を要望させていただきます。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。